黄砂実態解明調査報告書(平成15~24年度):7 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・3.4.平成24(2012)年度の黄砂飛来状況
平成24(2012)年度に気象台が観測した黄砂を、観測地点数、黄砂の規模とともに、表3-4-1に示す。
平成24(2012)年度に黄砂は21日観測され、連続した日をまとめると10事例となる。観測地点が最も多かったのは、平成25(2013)年3月9日で31地点、続いて3月20日の29地点である。
なお、煙霧については、平成24(2012)年度に全国のいずれかの地点で212日観測され、最も多くの地点で観測されたのは平成25(2013)年3月8日の22地点であった。
以下、平成24(2012)年度の黄砂飛来状況を事例別にまとめる。
「黄砂実態解明調査中間報告書―平成20~22年度―」5)に基づき、各黄砂事例の分類も行った。
単純黄砂:硫酸塩エアロゾルの存在が少ない黄砂の飛来とした。

硫酸イオン濃度が低いことから人為起源からの影響は小さく、自然起源による黄砂の飛来が主であると判断されるものである。
混在黄砂:硫酸イオン濃度の上昇があり、硫酸塩エアロゾルが黄砂に混在しているものとした。硫酸イオンの増加から、人為的な汚染物質を含む微小粒子も同時に飛来してきていると想定される。

(1)平成24(2012)年4 月1 日~3 日
沖縄、鹿児島など日本南部のみで観測された黄砂である。

砂塵嵐の発生は観測されているが規模は小さい。3 日には煙霧も観測されているが、地点は散在している。

後方流跡線はモンゴル上空を通過しており黄砂の飛来を示している。

福岡における硫酸イオンの濃度は10μg/m3 未満で低く、規模の小さな単純黄砂と考えられる。

(2)平成24(2012)年4 月9 日~10 日
9 日は北海道、東北・北陸を中心に11 地点で黄砂が観測されている。

モンゴルで砂塵嵐の発生もみられ、東北での後方流跡線とも重なっている。

SPM 濃度は高くないが、PM2.5 濃度は中国・四国で高い。福岡での硫酸イオン濃度は10μg/m3 を超えており、CFORS の予測を含めると、北日本で黄砂、西日本で硫酸塩が飛来した混在黄砂と考えられる。

(3)平成24(2012)年4 月23 日~25 日
前日の22 日にモンゴル南部で大きな砂塵嵐が発生しており、それが西日本に飛来し、24 日には22 地点で黄砂が観測されている。

同時に煙霧も17 地点で観測されており、西日本でのPM2.5 濃度は高く、福岡での硫酸イオンも20μg/m3 を超えている。

比較的大きな黄砂と、硫酸塩エアロゾルが同時に飛来した
混在黄砂と考えられる

(4)平成24(2012)年5 月16 日~17 日
中国大陸での砂塵嵐の発生は顕著でなく、黄砂の観測は九州、四国に散在している。

九州では煙霧も観測されている。

後方流跡線も黄砂特有のモンゴル方向ではなく、煙霧時に多い中国沿岸部方向を示している。

福岡での硫酸イオン濃度は15μg/m3 を超しており、小規模の砂と硫酸塩エアロゾルの混在黄
砂と考えられる。

(5)平成24(2012)年12 月4 日
中国内陸部での砂塵嵐の発生規模も小さく、沖縄のみで観測された小さな黄砂である。佐賀と宮古島では煙霧が観測されている。本土での黄砂の様子はみられていない小規模の単純黄砂と考えられる。

(6)平成25(2013)年1 月2 日~3 日
松江と鹿児島でのみ観測された黄砂である。

九州では煙霧も観測されている。中国大陸での大きな砂塵嵐はみられないが、後方流跡線はモンゴル上空を通過してきている。

硫酸イオン濃度も低く、九州付近にきた小さな単純黄砂と考えられる。

(7)平成25(2013)年3 月1 日
モンゴルで砂塵嵐の発生は観測されているが、黄砂の観測は北海道のみである。煙霧が、東北・関東で観測されている。

福岡での硫酸イオン濃度は低いが、東北でのPM2.5 濃度は高くなっている。

北日本へ影響を与えた単純黄砂と考えられる。

(8)平成25(2013)年3 月8 日~11 日
黄砂が9 日31 地点、煙霧が8 日22 地点と、ともに観測地点が多く規模が大きな黄砂である。

モンゴルで砂塵嵐も観測されており、後方流跡線も気流がこの地域を通過してきていることを示している。

一方、9 日には後方流跡線も中国沿岸部からのものがみられ、福岡での硫酸イオン濃度も高くなっている。
大きな黄砂と沿岸部からの硫酸塩エアロゾルが飛来した混在黄砂と考えられる。