黄砂実態解明調査報告書(平成15~24年度):5 | 化学物質過敏症 runのブログ

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2.2.2.エアロゾル捕集方法
本調査では、黄砂の飛来が予想される日において、基本的に24時間単位の2日間連続で、以下の2つの方法で大気中のエアロゾル等を捕集した。
1) ハイボリウムサンプラー(HV)
浮遊粉じん濃度、エアロゾル中の金属成分及びPAHs成分の捕集を目的とする。
2) 二段型ローボリウムサンプラー(LV)
2.5μmで粗大粒子及び微小粒子に分級したエアロゾル中の主にイオン成分の捕集を目的とする。
エアロゾル捕集実施要領

ア.ハイボリウムサンプラー(HV)
1) 石英ろ紙(Pallflex 2500QAT-UP)を550℃で10分間加熱処理した後に秤量する。
2) ハイボリウムサンプラーの流量設定は、約1,000L/分程度とし、所定時間エアロゾルを捕集する(気圧、気温補正はしない)。
3) サンプリング終了後、速やかにろ紙を実験室に持ち帰り、1昼夜清浄な室内(湿度50±5%)に放置した後、秤量する。
4) 試料の保存に際しては、試料の捕集面を内側で合わせ2つ折りにし、清浄な和紙(半紙)で包み、その上を更にアルミ箔で覆い、それをビニール袋に入れて密閉する。保存場所は冷蔵庫内など5℃冷暗所である。
5) 分析等に際しては、低温宅配便にて所定の機関へ送付する。
6) ブランクは、トラベルブランクとする。

イ.二段型ローボリウムサンプラー(LV)
1) 石英ろ紙(Pallflex 2500QAT-UP)を550℃で10分間加熱処理した後に秤量する。
2) 二段型ローボリウムサンプラー(分離粒径は2.5μm)の流量設定は20L/分とし、所定時間エアロゾルを捕集する。
3) サンプリング終了後、速やかにろ紙を実験室に持ち帰り、1昼夜清浄な室内(湿度50±5%)に放置した後、秤量する。
4) 試料の保存に際しては、あらかじめ紙製ワイパーで拭いたペトリスライド((独)国立環境研究所指定の容器、47mm、ミリポア社製)にろ紙を入れ、更に、粗大粒子を捕集したろ紙が入ったペトリスライドと微小粒子を捕集したペトリスライド2個を1組にして、ファスナー付きビニール袋に入れる。保存場所は冷蔵庫内など5℃冷暗所である。
5) 分析等に際しては、低温宅配便にて所定の機関へ送付する。
6) ブランクは、トラベルブランクとする。

2.2.3.分析項目
捕集したエアロゾルの重量(浮遊粉じん濃度)及び微小粒子(PM2.5)重量濃度を測定したほか、金属成分8項目、イオン成分8項目、多環芳香族炭化水素類(PAHs)成分11項目を分析した。
本調査の分析項目を表2-2に示す。

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2.3.黄砂の把握方法
黄砂の特徴を把握するために、各黄砂事例を対象に、黄砂観測地点、気象概況(天気図・大陸における砂塵嵐の発生)、SPM濃度全国分布、後方流跡線、CFORS(Chemical weather FORecasting System)の予測結果、ライダー観測結果、PM2.5日平均値全国分布、PM2.5/SPM比、硫酸イオン濃度などについて整理した。
黄砂観測地点は、気象台が黄砂を観測したと発表9)した地点を示した。

また、黄砂現象の規模の相対的な比較の目安とするために、黄砂を観測した都道府県の全測定局のSPM濃度日平均値を平均した値に、観測した都道府県数を乗じた積算値(以下「黄砂規模」)を算出した。

また、気象台から煙霧の観測が記録されている地点も同時に記載した。併せて、地図上に黄砂・煙霧観測地点を表示した。
気象概況(天気図)は、気象庁のホームページ10)から天気図と天気概況を引用した。

また、世界気象資料11)をもとに、東アジアでの砂塵嵐の発生について地図上に表示した。気象コード33,34,35をSevere duststorm、30,31,32をSlight duststorm、07,08,09をDust、05をHazeとして分類した。
SPM濃度全国分布は、全国で行われている常時監視局のSPM測定データから地域的に高濃度になっている時間の値を地図上に示した。
後方流跡線は、アメリカNOAAのホームページ15)により表示できるHYSPLITを使用した。計算の起点は、SPM濃度が高くなった時間、地点を考慮して決め、概ね後方72時間とした。出発高度は、SPM濃度との関連を評価するため地表面に近い500mとした※。
CFORSは、九州大学応用力学研究所の鵜野らによって開発された化学物質輸送領域数値モデルである。

本報告書内の図は、国立環境研究所で定常運用を行っているバージョン(RIAM/NIES-CFORS)14)による黄砂イベント当時に予測された黄砂等土壌性ダストと硫酸塩の高度0~1kmにおける平均重量濃度の推定分布を表示している。
ライダー観測結果は、国立環境研究所公開のライダー観測結果13)でみることができる。

国立環境研究所ではライダー観測結果から消散係数を算出し、そのデータと画像を公開している。

数値データとして示されている消散係数(/m)は、光が物質に衝突し物質への吸収や散乱によって単位長さ当たりに消失する割合を示したものである。

この非球形粒子の消散係数(以下、「黄砂消散係数」)のうち、下層である150m~270mのデータを1時間毎に平均したものを経時変化グラフとして示した。

さらに、下層での黄砂消散係数とSPM時間値を経時変化グラフで表し、その類似性を検討した。

また、黄砂の高度分布をみるために、必要に応じ150m~3000mの黄砂消散係数1時間平均値を算出し、グラフにした。
硫酸イオン等の大気汚染物質の飛来を観察するために、硫酸イオンの1時間値を随時使用した。

硫酸イオンの1時間値は、福岡県が太宰府市(福岡県保健環境研究所)で測定しているデータを提供していただいた(機種:SPA 5020i Thermo Fisher Scientific社)。

また、この測定値が得られていない場合は、福岡県や各自治体、環境省で行ったフィルター法による調査での日値を使用した。
PM2.5日平均値濃度による評価は全国分布図を作成し、微小粒子による汚染の広がりをみた。

PM2.5濃度は、全国の常時監視局で測定しているものを使用した。

また、PM2.5濃度、SPM濃度及びPM2.5/SPM比の経時変化をグラフで表し黄砂の影響を観察した。
※ 表示した計算結果のうち、地表付近のみを経由する流跡線については、解析に用いなかった。


runより:まだまだ続くのですが今日はここまでにします。