黄砂実態解明調査報告書(平成15~24年度):3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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6.黄砂・煙霧時のPM2.5濃度
黄砂は、PM2.5の環境基準達成に大きな影響を与えており、また、越境による煙霧も、黄砂と同程度か
それ以上に大きな影響を与える可能性があると考えられる。

そこで、平成15(2003)年度から平成24(2012)年度までの黄砂、煙霧の観測から、黄砂・煙霧とPM2.5濃度との関係を検討した。

6.1.黄砂・煙霧時におけるPM2.5日平均値35μg/m3の超過
平成15(2003)~平成21(2009)年度までは環境省による13地点、平成22(2010)年度から平成24(2012)年度は自治体による測定局から各県1局を選び集計した。

全体でのPM2.5の日平均値35μg/m3の超過率は4.1%であったが、黄砂時は40.1%、煙霧時は28.1%と高くなっていた。

また、日平均値が35μg/m3を超えた日数の経年変化をみると、黄砂時の超過日数は大きく変わっていないが、煙霧時の超過日数の減少とともに、日平均値が35μg/m3を超えた全体の日数も減っていた。

地点別では、黄砂は西日本で多いこと、黄砂日のうちPM2.5日平均値35μg/m3の超過日が50%を超える地点も多いことが分かる。

煙霧については、多くの県で観測日数が減っており、西日本では東日本に比べて煙霧時に日平均値35μg/m3を超える頻度が高いことが特徴となっていた。

6.2.黄砂・煙霧時のPM2.5成分濃度による発生要因の検討
(1) 使用データ
環境省が実施してきたPM2.5成分濃度全国調査の結果をもとに、黄砂・煙霧時のPM2.5環境基準超過の要因を検討した。

対象としたデータは、全国14地点で平成15(2003)年から平成22(2010)年までの8年間、四季に採取したもので、このうち黄砂・煙霧日を抽出したものである。
(2) 成分濃度について
平均成分組成は黄砂・煙霧で違いがみられ、黄砂時は主に金属類で構成されていると思われる成分の割合が増えていた。

また、関東と九州の煙霧時においては、九州ではSO42-が多くなっているのに比べ、関東ではNO3-、OC、ECが多いというように組成の違いが出ていた。
(3) PMF法による計算結果[試算]
PMF法で発生源数を4とした時の因子の結果は、OC、ECで高い炭素系粒子、金属類やCa2+で高い土壌系(黄砂)、NO3-、Cl-で高い硝酸塩系二次粒子、SO42-、NH3+で高い硫酸塩系二次粒子とそれぞれみなすことができた。

全体での発生源寄与は、最も寄与が大きいのが硫酸塩系二次粒子で37%、続いて炭素系粒子と土壌系(黄砂)が同程度で23%と22%、硝酸系二次粒子が18%となっていた。

黄砂・煙霧時でPM2.5濃度が35μg/m3を超えた日について各因子平均濃度の経年変化をみると、炭素系粒子、は年々減少傾向にあること、硫酸塩系二次粒子は平成19(2007)年以降上昇していること、土壌系(黄砂)は年によって濃度が大きく変わることなどが表われていた。

また、複数地点もしくは複数日に黄砂・煙霧時でPM2.5の重量濃度が35μg/m3を超えた29事例について、PMF法による寄与推定を加えて分類を行ったところ、単純黄砂2事例、混在黄砂6事例、硫酸塩系二次粒子7事例、硝酸塩系二次粒子10事例、地点によって硫酸塩系二次粒子と硝酸塩系二次粒子が混じっているもの4事例と推定された。