その5:香料の健康影響に関する調査および病院・保育園等における香料自粛に関する要望 | 化学物質過敏症 runのブログ

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子どもの事例は文部科学省宛て要望書2)も参照してください。添付資料の新聞記事28)もご覧になってください。
いつ、何が、発症や重症化の引き金になるかわからず、取り返しのつかない事態になることもあります。

柔軟剤の香りがきっかけで、光に過敏になり暗い部屋に閉じこもることになった人がいます28)。

教師の整髪料や生徒の制汗剤、机にかけられた香水、来校した卒業生の香水など、香料や香水に繰り返し暴露し、寝たきりになるほど重症化してしまった生徒もいます。28,37)。
化学物質過敏症の患者の80%以上が症状を誘発するものとして香料をあげていますが、発症や重症化の原因ともなりうるものです。

化学物質過敏症は、重症化すると外出が困難になり、日常生活にも困るだけでなく、教育の機会を奪われ、就職や将来の仕事の夢や可能性も狭められてしまう、本当に深刻な病気です28)。
大学の下見をしてとても通うことができないと進学をあきらめ、息が苦しくならず症状が出ることなく働ける就職先を探しても難しく、自分の力で道を切り開いていこうとしている人もいますが、大変険しい道のりです28)。

シックスクールで化学物質過敏症を発症した学校職員や教員もいますが、大人になってから職場で発症した人にとっても、再就職や職場の理解を得ての復帰は困難を極めます28,35)。
文科省の健康調査でも喘息やアレルギーの児童生徒が増えています。特に子どもは化学物質への感受性が高いとされており38)、シックハウス症候群や喘息、アレルギーのお子さんなど化学物質過敏症を発症するリスクの高いお子さんも相当数いると思われますが、いつ何時どこかで香料暴露が発症や重症化の最後の引き金にならないとも限りません。

また、大人であっても、現在、喘息やアレルギー、慢性病に罹患している人など、化学物質の影響を受けやすい人々はたくさんいて、香料によって発症するリスクを抱えています。

香料の健康影響と安全性に関する問題
香料には安全性に関する問題もあります。

香料にはアレルゲンとなる物質が多く皮膚炎や喘息を誘発し、また偏頭痛を誘発するほか、神経毒性や内分泌かく乱作用、変異原性、発がん性、発がん促進作用や異物排出能力阻害作用などを有するものがあり30,31)、香料あるいは香料を含む製品のすべての安全性が担保されているわけではないのに、多くの人はそのような認識を持っていません。
香料は、人間の鼻腔の深部まで送り込まれ、匂いとして感じられることによって効果を発揮する、すなわち被曝することを前提として作られている複合化学物質です30,31,39)。

10種から数百種もの物質を混合し溶剤を添加して処方されていますが、製品での表示は「香料」と一括表示が認められ成分を明らかにしなくてもよいことになっており、安全性は、業界の自主基準である国際香粧品香料協会(IFRA)の「IFRA スタンダード」を遵守することで担保されると考えられているだけです30,40)。

また、化粧品などの安全性保証は、企業の自己責任に基づいて行うことにしかなっておらず、薬事法の「化粧品基準」(平成12年9 月29 日厚生省告示第331 号)にも「香料」に対する明確な規制はありません41)。

EU の化粧品に関する規制「EU 化粧品指令:76/768/EEC」(※2013 年7 月11 日以後は「EU 化粧品規則(EC) No.1223/2009」5)に移行、各国に法制化を求めていたものがEU 共通の直接規制となる)では、香料に関して26 種の物質をアレルギー物質として、製品ラベルへの表示を義務化しています6,41)。

これは、欧州委員会の科学委員会の1 つSCCNFP(現SCCS、消費者安全科学委員会)の1999 年の意見書を受けて2003 年の改定で盛り込まれたもので、同委員会は、その後も調査を継続し、2012 年にアレルゲンとして確定された82種類と動物実験で確認された19 種類、アレルゲンの可能性の高い26 種類の計127 種類の物質について、製品ラベルに表示すべきであるとの意見書を提出しました8-10)。

その中で特に注意が必要な12 種類の物質7)は化粧品等の製品への配合率を0.01%以下とすること、その中の1 種類の化学物質とこれまでに確定された2 種類の天然香料とその主たる香気成分について配合禁止とすることを提言しています。

また、その他のアレルゲンの可能性がある物質48 種類もリストアップして、今後接触アレルゲンかどうか判断するためにさらなるデータが必要であるとしています10)。
IFRA スタンダードでも、香料の他トルエンやベンゼン等の溶剤も含めた原材料について、使用禁止物質80 件を定めている他、使用制限物質102 件で配合量の上限を設けています42)。

しかし、化粧品やシャンプー等に含有される香料は0.1~1%程度であるのに、それでも抗原性の強いアレルギー性接触皮膚炎を頻繁に起こす香料や、天然香料にも陽性率の高い要注意の香料があり43)、日本皮膚科学会の接触皮膚炎診療ガイドラインにおいても、化粧品による接触皮膚炎の原因物質としてパラベンやホルムアルデヒドとともに香料があげられ44)、原因解明に有効な検査であるパッチテストで複数の香料成分を含む試料が用いられています43,44)。

業界の自主基準のみに依拠している日本では、そのようにアレルゲンとして特定されている物質が、表示義務もなく何の規制もなく流通しています。近年の動向をみても、香りの強い製品が売れ始めると簡単に製品中の香料の含有量を上げるなど、香料業界は、このような現状で本当に自主規制しているといえるのでしょうか。