その6:多種類化学物質過敏症および慢性疲労症候群患者の環境化学物質に対する遺伝的感受性の亢進 | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

一部の細胞内Hg-GSH結合物は核膜の小孔を通って核に到達し、特定のDNA部分(メタロチオネイン感受性エレメント)に結合して、メタロチオネインとのKR都合が誘導される25)。

高い核親和性によって、新しく合成されたメタロチオネインは金属とキレート化合物を形成する。

メタロチオネインはこのように実際に水銀や他の重金属、フリーラディカルの解毒に寄与する。

メタロチオネインの核親和性は還元型グルタチオン(GHS)によって保たれている。

メタロチオネインの十分な機能的代謝の前提には、GHSまたはその前駆物質であるL-システインの十分なデポ(蓄積)が必要となる。

慢性的な有害物質負荷のような酸化的ストレス下では、このグルタチオンデポが消費し尽されてしまう。

グルタチオンの収支の概要を図1に示した。


4

このように、重金属負荷患者群で第一相酵素活性が高くなっていた事は、細胞内グルタチオンの欠乏と、それに伴う中間代謝産物と重金属の蓄積を顧慮に入れるべきである。

重金属群での高いアレルギー傾向と、免疫系細胞への水銀の蓄積との間の関係は、この背景によるものと思われる29~30)。
 毒物発症歴が明らかでないC群の第二相酵素の遺伝子分析では、一般中部ヨーロッパ人と同様の遺伝子多型性分布を示した20)
 今回の対象のすべての患者に、第一相酵素CYP1A2の濃度上昇が認められた。これは炎症反応でも出現するように、患者の体が酸化的ストレス状態にあることを示していた。

今回の患者達は、2名の例外を除き、再発性の感染性疾患に羅漢していた。

1名はさらに検査を進めて、劇症型のEBウイルス感染症である事が判明しました。

またサイトカイン放出テストで、免疫的基準値が高くなっており、それは慢性のウイルス感染症免疫系がすでに活性化していることを示していた。
 多種類化学物質過敏症や慢性疲労症候群の個々の患者について、その発症から、症状と同様に精密に区分し、他の疾患を除外し、そして最終的に原因が確定される。

症状と有害物質曝露の詳細な問診は、診断をより確実なものとするであろう、また免疫の抑制や、自己免疫疾患を含めた先天性、および後天性の免疫系の生涯についても顧慮する必要がある。

さらに、EBウイルス32)CMウイルス33)ヘルペスウイルス34)の活動型の感染症についても更に検索する必要がある。

それらは体内に潜在していることもある。慢性観戦のマイコプラズマ35.36)、慢性化したカンジタ症が本症の原因として存在していないかも調べる必要がある。
 今回の検討は少人数に関してではあるが、個々人について、遺伝子テストを含めた第一相、および第二相の解毒経路の解析が、負荷有害物質の解明とともに、明らかに重要であると考えられた。

おそらく将来は、個々人の解毒能力の研究を通して、疾病発症の有力な危険因子が知られることになるであろう。

また、有害物質により誘発される多種類化学物質過敏症や慢性疲労症候群の発症は、早期検診により予防できるようになるであろう。