4.PBDEに関する規制の動向
EU では、域内における電気電子機器の廃棄量の増加を背景に、電気製品に使用する化学物質の規制を強化する動きが活発となっている。RoHS 指令(Restriction of the use of certain Hazardous Substances)もその一つである。
4.1目的4.2概要
電気電子機器類に含まれる有害 6 物質(水銀、カドミウム、鉛、六価クロム、ポリ臭化ビフェニール(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE))を原則として使用禁止とする。
・議論になっている特定化学物質の規制値(含有限
界値)は、カドミウムが 0.01 %(100ppm)、その他 5
物質が 0.1 %(1000ppm)となる見通しとされている。
・すでに国内で規制を導入している加盟国ではそれを維持すること。
また、代替品が未開発の場合、この禁止措置に一連の免除措置が設けられるが、欧州委員会は 2005 年 2 月 13 日までにこの免除措置の見直しを行い、科学技術の進歩に応じて変更を提案する予定としている。
更に、すべての免除措置は、4年ごとに見直すこととなっている。2006 年 7 月 1 日以降、EU市場ではこれら 6 物質を含む電気・電子機器類は実質的に販売できなくなる。
一方、北米エリアにおいては、カナダでは、カナダ環境保護法のリスクアセスメント(2004 年 5 月公示)において、PBDE を事実上廃絶すべき POP sと定義している。
これは、EU における 2003 年度の評価を受けたものである。
そこで、2004 年7月から 24 ヶ月の間に連邦法による規制定め、その後 18 ヶ月以内に州レベルの規制実施を明らかにしている。
ペンタとオクタグループについて、北米での製造業者での生産と流通を中止することについて、DECA(Canadian Automated Export Declaration )において議論が進められており、PBDEs の利用はカナダ、EUE、米国 13 州において順次段階的に禁止される見通しである。
米国では、2003 年9月8日、カリフォルニア州知事がサインし、「Ban on Harmful Chemicals AffectingCaliforunians」法に基づき、ペンタ及びオクタの規制が 2008 年1月1日から発効することとなっている。
ただし、デカは規制対象外となっている。同法の目的は、PBDE が高蓄積性をもつ化学物質であり、乳幼児を保護するためとされている。
これは、EU の規制に呼応した措置とされている。
その他、メイン州法では、2004 年州法審議が開始され、法案名「Reduce Contamination of Breast Milkand the Environment from the Release of BrominatedChemicals in Consumer Products(LD1790)」の下で、PBDE を すべて禁止か、デカを除外するかが論議の対象となっている。
ここでも、規制理由は高蓄積性・乳幼児保護が主な理由であり、予防原則や未然防止といった市民のリスク回避の理念がなどがその根底にあると思われる。
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しかし、その一方で、産業界の圧力から、製品に最も使用されているデカ BDE が規制の対象外となることについては、多くの NGO や市民の間から批判が出ている。
デカ BDE は、環境中でより有害なペンタやオクタなどに分解される可能性があることから規制の効果を上げるためには、デカを含むことが不可欠であるとの主張もある。
日本では、大手家電メーカや自動車メーカーにおいて、すでに EU や米国先進州の規制の動きに敏感に対応を進めているが、国としての規制の動きはまだ見られていない。それ以前に、環境中濃度についても十分な測定や解析が行われていないのが実態ではないだろうか。