◇残留、考えにくい…専門家
農薬はなぜ混入したと考えられるのか。筑波大の内藤裕史・名誉教授(中毒学)は「食品に残ったマラチオンの濃度が非常に高く、誰かが故意に混入させたはずだ。
(中国製冷凍)ギョーザ事件をほうふつとさせる」と指摘する。
マルハニチロによると、マラチオンが検出された商品からは、異臭がしたという。
内藤氏は「残留農薬が原因で異臭がしたり、味が変わることはほとんどない。今回は異常だ」と強調し、「材料に残留していたのではなく、加工や輸送、販売などの過程で、人為的に混入させられた可能性が高い」と語った。
吉田武美昭和大名誉教授(毒物学)も「冷凍食品の原料に使われる加工した農産物にこれほど大量のマラチオンが残留しているとは考えにくい。
製造などのどこかの過程で入り込んだ可能性がある」と同様の見方を示す。
一方で「マラチオンは毒性が比較的弱い殺虫剤。1万5000ppmなら気分が悪くなって吐き気をもよおしたり、瞳孔が縮まってものが見えにくくなるなどの症状が出てくるかもしれないが、致死量には達しないのではないか」。臭いもきついため、大量に混入している場合は口にすることは考えにくいといい、「仮に食べて気分が悪くなった場合は、解毒剤があるので病院に行って治療を受けてほしい」と呼びかける。【竹内良和、前谷宏】
◇07年には冷凍ギョーザ事件
農薬などが食品に混入するケースは過去にもあった。
2007年12月~08年1月、中国・天洋食品製の冷凍ギョーザを食べた千葉県と兵庫県の3家族計10人が嘔吐(おうと)や下痢の症状を訴え、5歳の女児が一時重体となった。
ギョーザから有機リン系殺虫剤「メタミドホス」を検出。
中国警察当局は10年3月、農薬を混入させたとして工場の元臨時従業員を逮捕した。
08年9月には米卸売加工会社「三笠フーズ」(大阪市)がメタミドホスなどに汚染された事故米を不正転売していたことが判明。後に同社社長らが逮捕されている。
また、同年10月に「ニチレイフーズ」(東京都中央区)が中国から輸入した冷凍インゲンを食べた東京都八王子市の女性が唇のしびれなどを訴え、農薬「ジクロルボス」が検出された。
同年11月、米菓会社「もち吉」(福岡県直方市)の和菓子から有機リン系の殺虫剤「フェニトロチオン」を検出。
関連会社従業員が「私がやった」という内容の文書を会社に送り、自殺している。
【神足俊輔】
【ことば】マラチオン
マラチオンは、有機リン系の低毒性の殺虫剤。
イネ、野菜、果物、花、観葉植物の害虫駆除に、国内外で広く使用されている。
特異臭がある黄色っぽい液体で、水にはほとんど溶けない。
別名「マラソン」とも呼ばれる。
農林水産消費安全技術センターの資料によれば、毎日一生とり続けても体に悪影響が出ない量(1日許容摂取量)は、体重1キロ当たり0.02ミリグラム。
メーカーのホームページによると、目に入ると刺激があり、皮膚につくとかぶれる恐れがある。
runより:私も残留農薬としては多過ぎると思いますね、人的な混入だと考えています。
問題は多くの品々に混入していたのに出荷となってしまった品証、品管だと私は思います。