・シンポジウムは下記のとおり3部の構成とした。
第1部 生物への影響
オオヨシキリの減少 市田則孝(バタフライ・ウォッチング協会)
鳥の生殖と農薬 星信彦(神戸大学教授)
トンボ類への影響 上田哲行(石川県立大学教授)
ミツバチ大量死はネオニコチノイド系農薬による脳の発達障害が原因 黒田洋一郎(環境脳神経科学情報センター代表)
第2部 農薬を使わない世界を目指して
農薬を使わない有機農法とグリーンオイルプロジェクト 稲葉光國(民間稲作研究所代表)
農協の現場から 佐々木陽悦(JAみどりの理事)
生協活動の現場から 冨居登美子(よつば生協理事長)
の野山で起こった。
これらの鳥が越冬する東南アジアの森が伐採されたからではないかなど原因はいくつか考えられたが、結局、分からないままに終わった。
昆虫類は鳥のように個数の経年調査がほとんどないので明確ではないが、減り方は鳥よりも激しいと言われている。
第3部 討論 農薬を使わない社会を作るには
進行 金井裕(ラムサール・ネットワーク日本)
私はオオヨシキリの減少について報告した。
この鳥は東南アジアで越冬し、全国のアシ原で繁殖する小鳥である。
鳥に関心のない人にもヨシキリの名前は広く知られている。
アシ原でギョギョシ、ギョギョシとうるさいくらいに鳴く鳥である。
図1 東京・浅川におけるオオヨシキリ生息数の経年変化
(八王子・日野カワセミ会調査)
それが東京の浅川の河原では2000年をピークに明確に減少(八王子・日野カワセミ会未発表)、神奈川県では2006年から急減し(日本野鳥の会神奈川支部2011)、各地からオオヨシキリがいなくなったという声が聞かれるようになっている。
アシ原が減ってしまえば当然、鳥も減ることが考えられるが、千葉県習志野市の谷津干潟自然観察センターは干潟とその周辺のアシ原が保護区になっており、アシ原は保全されている。
この谷津干潟では、1999年からオオヨシキリの渡来数が調べられ、2005年からは繁殖数も確認されている。
毎年、20羽前後渡来していたものが2006年から急減し、2011年は鳥がいるにもかかわらず繁殖はゼロ、2012年は♂1羽のみの渡来のため繁殖は出来なかった。
このような状況から、あれほど沢山いて誰にでも親しまれてきたオオヨシキリが、長崎県佐世保市では絶滅危惧Ⅱ類にリストされるに至った。同様な減少傾向はコサギ、ツバメ(日本野鳥の会2012)など多くの鳥にも顕著に見られている。
アメリカ鳥類保全協会( A B C:American BirdConservancy)は2013年3月、ネオニコチノイドの鳥類に対する影響について96ページに及ぶ報告書を発表し、急性毒性だけで農薬の毒性判断をすべきでないこと、種子処理を中止すべきであるなどの提言をまとめている。