・出典:慢性疲労症候群(CFS)入門
http://spinozafj.web.fc2.com/mangcfs.html
・第13章 ぶり返しを最小限に抑える
ぶり返し、再発、あるいは再燃と呼ばれる、症状が強い期間は、CFSと線維筋痛症に共通する、しばしばうんざりさせられる一面です。
ぶり返しは、痛みと不快感をさらに生むことに加えて、もう決して疾患をコントロールできないのではないか、病状の改善は続かないのではないか、という不安を引き起こして、人々をひどく悩ませることがあります。
この章では、疾患のむらと、その身体的・心理的な影響にうまく対処するのに役立つ戦略を提供します。
この章の終わりに説明する「ぶり返しのワークシート」を使えば、ここのアイデアをあなたの生活に適用できます。
今症状が悪化していますか?
現在、重い症状があるのならば、それがいつもの症状か、あるいは新たな症状、新たな強さを伴う症状かどうかを自問してください。
いつもの症状であるならば、以下の提案が役立つかもしれません。
しかし、重い症状が単なるCFSあるいは線維筋痛症の突然のぶり返しであると、最初から決めてかからないでください。
CFSあるいは線維筋痛症の大多数の人々が、他の内科的疾患を一つ以上持っています。長期にわたる疾患だけでなく急性疾患の症状もあります。
症状が、今までにない新しいものであるならば、CFSあるいは線維筋痛症に加えてほかの疾患が進行している可能性があります。
このような場合、医療機関で診察を受けてください。
症状が非常に重くて急性であるならば、例えば、胸痛、あるいは意識を失いかけているなどがあれば、すぐに医師の診察を受けてください。
ぶり返しがひどくなるのを抑える
ぶり返しがひどくなるのを抑えるために、できることがたくさんあります。
あなたが取るべき行動もあれば、状況をもっと理解しやすくする、あるいは慰めをもたらすための心的適応もあります。
以下に、考慮すべき七つの戦略があります。
1. 前兆を特定してそれに反応する。ぶり返しの前兆に気づいて、速やかに行動するように自分自身を訓練すれば、ぶり返しを短くするか、あるいはぶり返し自体を防ぐことさえできるかもしれません。
ぶり返しの前兆は、ぶり返しが始まることを知らせる、体が発するシグナルです。
前兆として、特に、弱っている、頭がくらくらする、疲れている、あるいは頭が混乱する、さらに、いつもより多くの痛みがある、いつもより戸惑いを感じる、そして怒りっぽくなる、などがあります。
ぶり返しの前兆に注意を払うように自分自身を訓練するための最初のステップは、ぶり返しの前兆のリストを作成することです。
第二のステップは、前兆が現れたときにどうすればいいかを、前もって決めておくことです。
これで、体が発するシグナルを無視するのではなく、シグナルに対して、すぐに反応できるようになります。
ぶり返しの前兆への反応には、例えば、横になる、活動レベルを下げる、感覚入力を制限する、他の人々と一緒にいる時間を制限する、などが挙げられます。
我々のグループの一人の女性は「私は、いらいらしてくる、吐き気がする、疲れてくる、あるいは筋肉痛が始まる(これらはすべてぶり返しが差し迫っているという兆候)とすぐに、していることをすべてストップして、寝室に行き、ブラインドを下ろし、横になります。
それから、雑念を払うために深呼吸をします。
このリラクセーションは45分から2時間以上かかります。ふつうは、これで、気分が爽やかになって、元気になり、すべての活動を再開できます」と言いました。
もう一人の女性は、偏頭痛を制限することにおいて、同様の成功を報告しました。彼女は、偏頭痛の前兆に気づくことを独学で覚えました。
彼女は前兆が現れると、すぐにリラクセーション法をを実践することで、偏頭痛の強さを弱める、あるいは偏頭痛を防ぐことさえ可能でした。
2. 休息を取り続ける。
ぶり返しを乗り切るのに最もよく使われる戦略は、臨時休息(いつもより長い休息)を取り、ぶり返しが治まるまで、臨時休息を取るのを続けることです。
我々のプログラムの一人は「ぶり返しが起こると、とにかく、体が言っていることにただ従うように自分自身に言い聞かせます。
休息しなさい! と」と言いました。もう一人は「CFSを抱えて生活するための私の規則の一つに、『すべてが失敗したら、寝る』があります。
この規則に従うと、時々、私はこの病気に対して無力であり、私にできる最も賢明な方法は病気に従うことである、ということを痛感します」と言いました。
3. 作業を延期するか、人に任せる、あるいは取り除く。
作業を延期するか、助けを求める、あるいは何か不必要なものを手放して活動を減らせば、ぶり返しから回復するのを早めることができます。
ある一人は「とても一人ではできそうにない作業には助けを求め、そのときはできないそれほど重要でないことをただ手放すだけで、ストレスとぶり返しを減らすことができます」とコメントしました。
もう一人は「ぶり返しが起こると、以前ほど躊躇(ちゅうちょ)しないで、いつでも、雑事でも何でも手伝いを求めます。
私は、家族が私を手伝いたいことを知っています。そして、私に手を貸すことで、家族の気分が良くなることも知っています」とコメントしました。
4. 肯定的な心のつぶやきを利用する。我々のプログラムの人々は、ぶり返しの最中に、自分を慰める言葉を心の中でつぶやくと助けられると言います。
ぶり返しは、人をひどく悲観的にすることがあります。
そのとき、「このぶり返しは、他の人たちと同じようにやがて終わるでしょう」などのような、気持ちをなだめる言葉を自分に言い聞かせることが役立ちます。
自分自身を安心させる言葉を言い聞かせればリラックスすることができ、また、自分はもう決して良くならないだろうと主張する内なる声を、黙らせることができます。
心のつぶやきの詳細については、第31章を見てください。
5. つながっている。電話・電子メールを介して信頼する人とつながっていると、助かることがあります。
いろいろと提案してもらい、もう一人とつながっているというだけで安心できるからです。
我々のプログラムの一人は「クラッシュすると、一人でいられず、安らぎを得るために親しみのある声を探して電話で話します」と言いました。
もう一人は「クラッシュの真っただ中にいるとき、もう一人と話をすることがとても役立っています。
たいていは、私たちが何について話をするかは重要ではありません。
自分でもよく分からないのですが、何かにつながっているという感じが、私の気持ちを明るくしてくれます」と言いました。
6. 準備しておく。
持ち物が手元にあり、所定の場所に置いてあれば、クラッシュする不安が軽減され、ぶり返しを無事切り抜けるのが、より容易になることがあります。我々のプログラムの数人が、突然のぶり返しに備えてどのように計画を立てているかを説明してくれました。
一人の女性は、例えば、夫と子供たちが調理できる食品などをたくさん家に備蓄しています。また、彼女はベッドの近くに、必要な持ち物を置くために、自分の寝室を模様替えしました。
7. ぶり返しが終わっているようでも、臨時休息を取る。休息が長くなると、自分がしたいことをいろいろ考えても症状のせいでそれができないので、フラストレーションがたまることがあります。
このフラストレーションが原因で、体の準備ができる前に通常の活動レベルを再開して、もう一度ぶり返しを引き起こすことがあります。
最後の、ぶり返しがひどくなるのを抑える戦略は、徐々に通常の活動レベルに戻すことです。
これは、多くの人々が、ぶり返しが終わっているように思えても、あと数日間、臨時休息を取らねばならないということを意味します。
一人が書きました。
「すぐにでも作業に戻りたいという衝動に駆られるとき、もし自分がそうしたら、どんな気分になるだろうかを思い描きます。ふつうは、それだけで十分です。私はさらに1、2日臨時休息を取ります」