その13:2008年11月 オーストラリア NICNAS/OCS 報告書案 | 化学物質過敏症 runのブログ

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6.3 カナダ政府
 カナダ政府は1985年に初めてMCSの問題を検証し、それ以来MCSを取り巻く複雑な問題の理解を助けるあめのいくつかのワークショップを後援してきた。

 カナダでは2000年に、慢性疲労症候群(CFS)、多種化学物質過敏症(MCS)、線維筋痛症(FM)などの環境病に特に関連するカナダ保健省法は、環境病の存在とそれらの関連する原因と影響を確立するための科学的研究を実施するための条項を規定するために修正された(Bill C-416)。

この修正はまた、一般公衆に対してそのような病気の存在を知らせるための情報プログラムが確立されるべきことを求めた(The House of Commons of Canada, 2000)。

 さらに、連邦政府のカナダ住宅金融公社の障害者居住リハビリテーション・プログラムは、過敏症者の住宅改修のために10,000ドル(約100万円)の助成金とローンを提供する(Orme & Benedetti, 2004)。

 ハリファックスとトロントを含むカナダとアメリカ中の多くの自治体は、農薬の美観目的/非本質的使用を制限する条例及び/又は連邦法を採択した。

その他の地域でも公共教育やソーシャルマーケッティング(訳注)のような自主的取り組みを通じて農薬の使用を制限している。

ケベックでは、禁止されている成分を含む農薬と肥料の販売を禁じる州法によって条例が修正された((Kassirer et al. 2004)。

 いくつかのカナダの病院は、MCSの被害者であると自身が認識している患者たちのために、”ケミカル-フリー”の緊急室及び治療室を提供してMCS政策を導入している。ノバスコシア州の自治体は、化学物質過敏症であると自己認識している人々の治療とケアのために環境健康センターを設立した。

訳注:ソーシャルマーケティングは企業の利益追求中心のマーケティングに対し、社会との関わりを重視するマーケティング


6.4 ドイツ政府
 ドイツは、しばしば”公式にMCSを認めている”唯一の国であるといわれているが、それは、2000年11月にドイツ医学文書情報研究所(DIMDI)によって刊行されたドイツ語版『疾病及び関連健康問題の国際統計分類(ICD-10-SGB-V)』のアルファベット順インデックスにMCSが含まれているからである。

 MCSは、ICD-10-SGB-Vのアルファベット順インデックスに含まれている一方、重要なことは、このインデックスが何人かのドイツ臨床医によって用いられた診断の句(phrase)の収集であり、ドイツにより”公式に認められた”リストではないということである。

臨床医により使用された又は認められた全ての句(phrase)というわけではない。

 MCSの症例に関し、句(phrase)は明確な疾病の実体を表していないので、いくつかの句(phrase)には唯一の疾病コードが割り当てられていない。

ドイツ医学文書情報研究所(DIMDI)は、MCSが ICD-10-SGB-V アルファット順リストに含まれていても、このことはMCSが疾病として認められたことを示唆するものではないと述べている(M. Schopen, DIMDI, Personal Communication, 2004)。