その12:2008年11月 オーストラリア NICNAS/OCS 報告書案 | 化学物質過敏症 runのブログ

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6.2.5 国立環境健康科学研究所(NIHES)、国立健康研究所
 NIHESは、MCS及びMCSの結果に関連する研究分野に関連する調査の研究支援をしており、MCSについてのよりよい理解のための新たな革新的な研究アイディアの開発においてNIEHSを支援するためのMCSに関する多くのワークショップや会議を支援してきた(Interagency Workgroup, 1998)。


6.2.6 米環境保護庁(USEPA)
 米環境保護庁I(USEPA)は、米国有害物質疾病登録庁(ATSDR)と、疾病管理予防センターの国立環境衛生センター(NCEH)との共催によるMCSに関する連邦政府内機関作業部会を後援した。

公衆衛生政策策定と研究計画立案に対する指針を与える意図を持った報告書案が1998年8月にパブリックコメント用に発表された。

その報告書案はMCSの程度と特性の公衆衛生評価を行い、連邦政府機関が考慮すべき将来の行動を勧告した。

 作業部会は、MCSを取り巻く懸念に目を向けるために、症例定義、基礎疫学、課題調査の分野における研究の必要性があると結論付けた。

これらの勧告は1990年以来開催されたいくつかの専門家ワークショップから得られた結果と一貫性がある(Interagency Workgroup, 1998)。

その報告書は、MCS唱道者らから手続き上の問題と入手可能な全ての文献を含んでいないとして批判された(Donnay 1999)。

 国家環境正義諮問委員会は環境正義に関連する問題に関し米環境保護庁(USEPA)に独立の助言を与えるために1993年に設立された

2000年にこの委員会は、MCSは届出義務のある(notifiable)病気であるべきこと、MCSを引き起こし引き金となる化学物質からの保護を確実にするために既存の環境法は見直されるべきこと、基準を設定し規則を確立する時にはMCSが含まれるべきこと-を勧告した。

 これらの勧告に対応して、米環境保護庁(USEPA)は、MCSの定義、原因、治療に関する知識の状態は委員会によって要求される法的措置を正当化するためには十分に定義されていないと述べた(Read, 2002)。

 2002年1月、労働者補償制度の下でMCS被害者補償を認める米上院法案(SB 6302)が上院を通過した。

MCS症候群の補償を求める労働者は、彼らの病気は職場環境がなければ発症しなかったことを証明しなくてはならない。

もし労働者が、職場で化学物質関連疾病を発症する前にMCS症候群であると診断されていたなら、その労働者は職場環境がなければ発症しなかったことを証明する必要はない。

その労働者は作業関連条件が既存のMCS症候群を悪化させたことを証明しなくてはならない。

その労働者は、既存の病気の状態にではなく、職場環境の悪化の結果としての状態についてのみ、補償されることができる(Senate Committee on Labour, Commerce & Financial Institutions, 2002)。


6.2.7 社会保障庁及び住宅都市開発省

 米社会保障庁は、米社会補償法の下に影響を受けた個人に保護を与えた(Donnay, 1999)。

1992年、住宅都市開発省は、MCSは公正住居法の下における”ハンディキャップ”であり、MCSの人々は連邦住宅託差別法の下で保護又は合理的な宿泊設備を求めることができると述べた(Orme & Benedetti, 1994)。

 フロリダ州を含むいくつかのアメリカの州では、MCSの人々のために農薬通知登録(pesticide notification registry)を創設する法案を通過させた。典型的には、所有地周辺で農薬を散布する場合には登録された人々に対して事前に通知することを求めるものである。

住民が登録するためには化学物質過敏症であることの医学的証明が通常求められる(Interagency Workgroup, 1998)。

 サンフランシスコ市、サンタクルツ市、ワシントン州などを含むいくつかの行政管区では、MCSがそれぞれの障害者アクセス法や勧告に含まれている。

一般的にこれらの政策は、従来の建築手法に比べて換気がよく、有害な建材、家具、床材、備品の使用の少ない”ケミカルーフリー”な部屋を要求している。

これらの政策は、”ケミカルーフリー”な治療施設の提供とともに、改修工事の影響を受ける地域又は農薬散布地域については実施前に公衆に通知すべきことを求めている。


6.2.8 米国法廷におけるMCS
 アメリカでは、MCSをめぐる法的行為と結果は科学に勝るということが言及されている(Gots 1995)。

いくつかの法廷ではMCSを補償されるべき疾病であるとして認めているが、その他の法廷では因果関係を軽視し、身体化(somatisation 訳注:精神的症状を身体的症状に転換する)障害又は心理的障害によって障害を受けたと考えられる原告に給付金を支給するとするところもある(Barrett, 2000a)。

 他の例では、化学物質過敏症の訴訟は却下されている。

慣例では、反対側の専門家とどちらが信頼できるかを陪審員に見極めさせつつ、法廷に出された科学的証拠の有効性は”一般的許容”基準の下に評価される。

現在、いくつかの法廷が、陪審員ではなく連邦裁判官に、その訴訟に対する方法論とその適用可能性の有効性を評価することを求めるドーバート対メレル・ダウ判決(訳注)で最高裁によって示さた1993年の判例を採用している。

ドーバート判決は、専門家の証言の許容性にに関しては次の考察が関連する。
 1) 当該理論又は技術はテストすることができるかどうか
 2) それはピアレビューされて公表されてるか
 3) 理由の根拠又は方法論には既知の又は潜在的な誤りがあるか
 4) 関連する科学界で広く容認されているか
(Supreme Court of the United States, 1993)

 いくつかの法廷は、MCSは科学的確証が欠如しこれらの基準を満たしていないことを根拠にMCS唱道者による証言を排除している。

訳注:ドーバート対メレル・ダウ薬品会社


runより:司法がカギを握るのがアメリカらしいっちゃアメリカらしい。

国としては模索してますよ、という所ですね。

医師会がやたら反発してる理由を「もっと」詳しく知りたい。

今のところ噂しか知らないからね(-。-;)

とにかくアメリカでは化学物質過敏症患者は厳しいです。