その14:2008年11月 オーストラリア NICNAS/OCS 報告書案 | 化学物質過敏症 runのブログ

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6.5 イギリス専門家組織
 イギリスでは、MCSが個別の臨床疾病として分類することに対する賛成者と反対者の双方から見解が表明されている。


6.5.1 王立内科医科大学と王立病理学大学
 イギリスでは王立内科医科大学と王立病理学大学がMCSの非科学的根拠について詳述した報告書を発表している(The Royal College of Physicians and Royal College of Pathologists, 1995)。


6.5.2 英国アレルギー・環境・栄養医学会(BSAENM)
 BSAENMの声明は他の医学団体の声明とは異なる。

BSAENMは、多くの異なる器官から生じる広範な様々な症状は環境因子によって感受性の高い人々に引き起こされる生物学的機能不全の結果かもしれないと述べており、規制政策の変更を主張している。

MCSはイギリスでは広く無視されているが、BSAENM はこのことは変わると信じている。

その結論は下記を含む。
一般集団の化学物質暴露を削減する努力がなされるべきである。
因子の引き金となる環境暴露は、感受性の高い個人に過敏症を引き起こすことが”示される”レベルより低く維持すべきである。

提案される大気中の揮発性有機化合物のレベルは、アメリカのSBSにおいて症状を引き起こすと報告された未発表のデータに基づく約5ppb以下とすべきである。
予防原則を適用すべきである。
化学物質暴露はアレルギー疾患の有病率の増加に寄与しているかもしれないとする不確かな証拠があるという事実に基づき、相互反応、免疫増強作用、ホルモンかく乱の評価が化学物質安全性評価に含まれるべきである。
アレルギーのあるものは慢性的症状に多分寄与しているということを認めるべきである。(Read 2002)

6.5.3 エジンバラ職業医学研究所
 エジンバラ職業医学研究所は、英国安全衛生庁のために1999年にMCS文献の包括的なレビューを実施した。

このエビューの目的は、環境化学物質への低レベル暴露がある人々に臨床的反応をもたらすという説得力のある証拠があるかどうかを調査することであった。

そのレビューは、広範な文献であったにもかかわらず、MCSのための明快な疫学的な証拠はなかったが、MCSは多分存在し、それは時には診断されていない疾患とごちゃまぜにされ、その結果、誇張された有病率となると結論付けた。

同研究所はまた、提案された原因メカニズムの中で、大脳辺縁系燃え上がり(limbic kindling)が証拠として賛同できると結論付けた(Graveling et al. 1999)。

 このレビューは、化学物質の独立した科学的及び医学的レビューを実施し、保健省主席医官に助言する食品・消費者製品・環境中の化学物質の毒性に関する委員会に提出された。

同委員会は現状の知見に基づき、MCSの潜在的なメカニズムに関してコメントする、あるいはこの分野におけるさらなる研究を勧告するためには証拠が不十分であるということに同意した(Read, 2002)。