その11:2008年11月 オーストラリア NICNAS/OCS 報告書案 | 化学物質過敏症 runのブログ

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6.2 アメリカ政府
 アメリカでは、MCSに関心を持つ連邦政府及び州政府が1979年にまでさかのぼる比較的長い歴史を持っている。

この問題は、州政府、連邦機関、米科学アカデミー、その他の専門家組織によるワークショップや会議を通じて議論され検証されてきた(Read, 2002)。

このような関心にもかかわらず、この分野の科学的研究は限定されている。


6.2.1 米国有害物質疾病登録庁(ATSDR)
 ATSDRは、低レベルの化学物質に対する過敏性を取り巻く問題に関する監視任務を有している。

過去に追加的科学研究の必要性があったので、ATSDRはMCS病因論についてのよく設計された科学的研究に対するMCS会議に資金を提供をした。

最初の会議は1991年3月に米科学アカデミー後援で開催され、二回目は1991年9月に労働環境診療所協会の後援で開催された。

これらの取り組みを通じてATSDRは、MCSを取り巻く問題についての情報のパイプ役として機能している(Interagency Workgroup, 1998)。


6.2.2 国防省(DOD)
 国防省(DOD)の職員が直面した作業環境のために、国防省は湾岸戦争病と、慢性疲労症候群(CFS)、多種化学物質過敏症(MCS)、線維筋痛症(FM)のような他の疾病との間の関係に焦点を当てつつ、慢性多症状病を調査するためのいくつかのプロジェクトを後援した。

そのようなプロジェクトは、これら病気の根底にある可能性あるメカニズムとして通常の神経内分泌系ストレス反応の調節障害の調査を含む。

他の研究は、治療を求める湾岸戦争退役軍人と湾岸戦争時代の非配置退役軍人のグループにおけるを神経心理機能を検査した。

2003年、国防省歳出法案は、慢性多症状病に関するこの研究にさらに資金をつぎ込むために520万ドル(約5億2,000万円)を計上した(epartment of Defence Appropriations Act, 2003)。


6.2.3 退役軍人省
 退役軍人省は、軍役に関連する環境健康と毒性学に関する研究を実施するために三か所の環境ハザード・センターに資金を出している。

センターのいくつかはMCS研究を実施した。(カレンの基準に従った)

MCSの診断の詳細研究は、精神状態、神経心理機能、症状報告、職業的及び経済的結果、肺機能、神経状態、可能性ある誘因子の評価を含む。

これらの研究のあるものからの結果は発表されている(例えば、Black et al. 1999, Gray et al. 2002)。

ブラックらは、湾岸線戦争軍人3,695人のうち4.6%がカレンのMCS基準に合致し、報道によれば彼らの多くは退役傷痍軍人又退役傷痍軍人年金受給者であったと言及した。


6.2.4 国立環境衛生センター(NCEH)、疾病管理予防センター
 疾病管理予防センター、 国立環境衛生センターは、人と職場の外の環境との相互作用に関連した疾病、怪我、身体障害を防止し管理することにより健康と生活の質を促進するために設立された。

そのプログラムの影響は、どの州にもある公衆健康局、及び多くの公的、私的、そして国際的組織との密接な連携を通じて増幅されている。

その主要な活動は、環境暴露が起きるかもしれない場所での環境有害物質のバイオモニタリング、鉛汚染調査及び防止、出生障害調査と防止、緊急の公衆健康調査を含む。(Interagency Workgroup, 1998)

 NCEHはMCSに直接向けたプログラムは持っていないが、多くの活動がMCSを取り巻く問題に関連している

関連部門である環境健康科学試験場を通じてNCEH はヒトの生体サンプル中の200以上の有害物質を測定することについて主導的役割を果たしている。

大規模集団から得たサンプルの分析研究は、米国民が揮発性有機化合物、農薬、ハロゲン化芳香族化合物(例えばPCB類)、有毒金属(例えば、鉛、カドミウム)、環境タバコ煙に暴露している程度を調査している。

この情報は、有害物質への暴露とヒトの健康影響との関係を明確にするために役立つ(Interagency Workgroup, 1998)。

 NCEHによって実施された疫学的調査は化学物質過敏症の疑問と関連している。

環境健康ハザードと健康影響部門の疫学者らは、トリプトファン摂取、排気ガスや大気汚染物質の吸入、胎児のアルコール暴露に関連した有害環境影響について調査している。

ぜん息防止における地域ベースのプログラムは、重要性が増している罹患率と死亡率の原因についてのリスク要素と介入効果を調査している。

NCEH 内にはMCS分野に関する資金や法的任務はない(Interagency Workgroup, 1998)。