・6 付属2.他の国の政府と専門組織の見解
6.1 アメリカの専門組織
いくつかのアメリカの組織はMCSについてMCS診断の短所を指摘する公式声明を発表している。診断手順のあるものの信頼性のなさとその誤用、及び、これら特定の患者における環境化学物質の毒性影響であると言われるものについての科学的支持と臨床学的証拠の欠如である。
6.1.1 米国環境医学アカデミー(AAEM)
1965年、ランドルフは、主に臨床環境医学の原理を実践している内科医及び整骨療法医からなる米国環境医学アカデミーを設立した。
AAEMは、その哲学を『An Overview of the Philosophy of the Academy of Environmental Medicine(環境医学アカデミーの哲学大要)』(AAEM, 1992)に発表した。
この声明は、多くの異なる器官から生じる広範な症状は、感受性の高い人々に環境的刺激によって引き起こされる生物学的機能不全の結果かもしれないと示唆している(nteragency Workshop, 1998)。
6.1.2 米国アレルギー・ぜん息・免疫学アカデミー(AAAAI)
米国アレルギー・ぜん息・免疫学アカデミー(AAAAI)は、アレルー専門家、ぜん息専門家、臨床免疫専門家、その他の健康関連専門家を代表するアメリカ最大の医学専門組織である。
AAAAIは、見解声明を1986年に初めて発表し1999年に更新した。
AAAAIは、MCSにおける病因論と生成及び、MCS対象における免疫学的及び神経学的異常に関する特定のメカニズムについての科学的証拠が不在であることに言及した。
環境化学物質、食品、及び/又は薬品とMCS症状の因果関係は推論の状態が続いている。
6.1.3 米国内科学会(ACP)
米国内科学会(ACP)は、1989年に見解声明を発表したが、それは、米国職業環境医学会(ACOEM)も1991年に自身の見解を発表するまでそれを採用した。
それは、臨床環境医学の考えと実施を支持するのは不適切であると結論付けた。
臨床環境医学の理論で表わされるような環境病の存在は、臨床的定義が欠如しているので疑問がある。
診断と治療は、効能が証明されていない手順を含んでいる(American College of Physicians, 1989)。
6.1.4 米国職業環境医学会(ACOEM)
ACOEMは1991年に見解声明を初めて発表し、その後1993年と1999年に更新した。
それは、MCSを明確な実体として定義するための証拠はまだ存在せず単一症例定義はないが、ある暫定的な結論を支持するデータは入手可能である。
その声明は次のように述べている。
免疫学的根拠に反する証拠がある。
例えば線維筋痛症(FM)や慢性疲労症候群(CFS)のような他の非特定状態とオーバーラップする。
調査データは、におい関連症状は一般集団で共通であるが、関連する障害の程度と有病率は明確ではないことを示唆している。
既存及び同時発生の精神障害の有病率はいまだに議論がある。
MCSと環境汚染物質への暴露との関連は証明されていない。
MCSの発症又は厳しさを最小にすることを目標として環境の調査、規制、又は管理を行うための科学的根拠は現在、存在しない(American College of Occupational and Environmental Medicine, 1999)。
ACOEMはまた、人の健康に影響を与えることがあり得る何らかの室内空気質があることを認め、したがって室内空気質を改善するための規制的取り組みを支持している。
runより:アメリカは化学物質過敏症に否定的なので仕方ないですね、次にはAMAも出てきます。