●2005年1月27日教育施設課が作成した資料・使用材料チャンバー試験等を参考に原告が調査をしたが、約28種類の有害な揮発性有機溶剤による複合汚染であった。
重大な事故であった。
●改修工事が終了した翌年2006年10月20日、生徒は音楽室内で異臭を確認した。
管理職Fは、生徒・保護者の意見を聞こうとはせず、教室使用再開を強制し続けた。
●2006年5月、音楽準備室に移動したハンドベルの柄のABS樹脂が溶解し、液だれができた。
県は「水滴である」との調査結果を提出。音楽準備室の金属製のテーブルのゴム製の縁が伸び、ガラス窓のガムテープの接着糊部分が溶けた。有機溶剤の臭気もあった。
2006年9月初旬、天井内空気換気排気口を屋上まで立ち上げる工事を行った。
液だれは、なくなった。
●揮発性有機溶剤の危険性に関する情報は、安全データシート提出のみであった。以上は、主な疑問点であり、県対策検討委員会は上記のような杜撰な検討をしたことを、明記したい。
■神奈川県議会本会議で議論されていた
県教育委員会は、「保土ヶ谷高校の事故前に、同様の事故はなかったので想定できなかった」と主張しているが、大きな事故が神奈川県内で2件、保土ヶ谷高校シックスクール事故の前に発生し、議論されていた。
●2004年7月20日山本裕子議員が、「葉山の財団法人国際環境戦略機関(IGES)の新築施設に勤務した職員の約半数がシックハウス症候群・化学物質過敏症と診断された」ことを質問した。
情報開示で判明したIGESシックハウス事故の概要を以下に説明する。2002年6月10日新施設への移転後、27名がシックハウス症候群・化学物質過敏症の診断を受けた。
建物の賃借者の神奈川県、所有権を持つ県住宅供給公社、使用者のIGES、建築業者で対策委員会を立ち上げた。
◎具体的な対策:休日明け前日の換気(保土ヶ谷高校北棟は完全に防火扉で封鎖された状態であった。休日は換気回数0回)。
体調不良職員のために専門病院の情報を提供し、診察費用を負担(保土ヶ谷高校では専門医療機関診察の指示がなかった)。
有機溶剤用の活性炭入りのマスクを配布(保土ヶ谷高校ではこのマスクの配布を要請したが、管理職Eは、配布しなかった)。
執務室の変更や別の施設への退避等の対策、自宅勤務も認めた。2002年7月29日、30日4物質の検査を実施。
2003年3月17日、18日神奈川県衛生研究所が55品目のVOC検査を実施。厚生労働省室長・鎌倉保健所に相談。
2002年8月13日、事故当初に全職員に調査票による影響調査を実施。IGESの事故では早い段階で、事故対応が実施された。
この事例がありながら、保土ヶ谷高校では、USウレタンプライマー塗布直後からの苦情・VOC調査・防水工事調査の要請を続けたが、管理職は積極的な対策をしなかった。