Q1. 農薬を使うのに、何か規制やルールがありますか。
登録された農薬しか使えません。
農薬は、農作物を病気、害虫、雑草などから守る目的で使用するものです。それ以外に、農作物の発芽、発根、伸長、着果、結実などを促進又は抑制する目的で使用されるいわゆる植物成長調整剤も農薬に含まれています。このように農薬は品質の良い農産物の安定供給に欠かせないものではありますが、その使用が人や環境に悪影響を及ぼす可能性がないわけではありません。
例えば、殺虫剤は、害虫を駆除するために使用されるものですが、その使用によって害虫以外の虫も死んでしまう可能性があります。
このため、効果や安全性に関するデータを審査して問題がないと判断した農薬のみを、農林水産省が登録し、登録された農薬のみを使用できることになっています。
また、登録の際に、使用できる作物と使用方法(希釈倍数、使用量、使用時期、回数など)を合わせて定めており、農薬を使用するときにはこれらを守らなければなりません。
栽培される農作物は国によって異なります。
また、気候や栽培される農作物、栽培方法が違えば、発生する病気や害虫や雑草も違います。
このため、必要となる農薬やその使用方法、使用できる作物は、各国で異なっています。
さまざまな試験成績に基づき、効果・安全性を確認した農薬だけを登録します。
農薬登録の際には、農薬の開発者に以下の試験成績の提出を求めています。
・薬効・薬害に関する試験
・農作物や土壌中の残留に関する試験
・毒性に関する試験(人に対する健康影響を見るため、実験動物に農薬を与えて実施する試験)
・有用生物への影響に関する試験
・植物や動物における農薬の代謝・動態に関する試験
農林水産省は、食品安全委員会、厚生労働省及び環境省と協力して、農薬を使用する農業者の健康への影響、水質や水生生物などへの影響、周辺の農作物や蜜蜂などの有用生物への影響、農薬が残留した農産物を食べた消費者の健康への影響、病害虫防除の効果などを、これらの試験成績に基づいて評価し、登録の可否を判断しています。
農薬は、ラベルに表示された使用方法を守って使用しなければなりません。
農薬登録の際に効果及び安全性が確認された使用方法をラベルに記載することが定められています。
農薬が、必要な効果を発揮しつつ、人の健康や環境に悪影響を与えないようにするためには、ラベルに表示された使用方法を守ることが不可欠です。農林水産省は、都道府県、農協、販売業者を通じて、使用方法を守るよう農薬使用者に指導しています。