d) 化学物質の放散を低滅する改修技術の確立
改修技術分科会では、ワーキンググループを組織し、表-4.3.15 に示す各種の改修技術についての調査・検討などを行った。
表-4.3.15 改修技術分科会における調査・研究内容
WG(ワーキンググループ)名内容
1.情報収集WG 室内の化学物質の濃度を低減する建材、製品、工法、設備、工法などの調査
2.RC造(鉄筋コンクリート造)
実大実験WG
RC集合住宅の改修技術に関する実験
3.木造実大実験WG シックハウス対策に資する改修技術の開発・検証調査
1)新築住宅の換気設備の性能検証
2)築5年住宅の造作および換気改修効果の検証
1)改修技術の現場および実験室における測定・評価方法の開発
2)家庭用空気清浄機およびベイクアウト注)によるホルムアルデヒド、 VOCの室内濃度低減化に関する研究
3)発生総量と汚染物質種把握のための現場調査方法の検討
1)発生状況把握技術の検討
2)診断フロー・診断技術の検討
4.既存住宅実験WG
5.実験室実験WG
6.改修に関わる発生状況・診
断技術の開発
出典:室内空気対策研究会ホームページ>分科会活動報告 >改修技術分科会
注)ベイクアウト:室温をある一定期間、一時的に上昇させることにより、汚染源からの発生を促進させて、平常時の汚染物質発生率を緩和する方法
その結果、RC 造(鉄筋コンクリート造)実大実験WG による「RC 造換気実験棟結果概要」によると、換気方式の違いによる室内空気質の実測結果では、機械換気方式、自然換気方式、ハイブリッド換気方式(天井に貫通ダクトを設置)ともに、換気量の増加によるホルムアルデヒド等の濃度低下が確認された。
また、実験室実験WGによる「ベイクアウト及び空気清浄機による化学物質濃度の低減報告書」によると、住宅を加熱するベイクアウト実験では、実際の木造住宅について下地レベルから再現した試験片を用いて一定の加熱条件(約38℃で72 時間加熱)による実験を行い、ホルムアルデヒド、TVOC ともに約10~30%の低減効果を確認した、などが報告されている。
e) ガイドライン及びマニュアルの作成
ガイドライン分科会では、他の4 分科会(実態調査、測定技術、改修技術、汚染メカニズム)の成果などを踏まえて、住宅生産者や消費者のためのガイドライン・
マニュアルの作成に向けた調査・検討を行い、平成14 年度報告書として、「住宅の室内空気質に関するユーザーズガイド」、「住宅の室内空気質に配慮した設計施工ガイド」、「住宅の室内空気質に配慮した改修ガイド」をまとめている。
f) 化学物質濃度情報の開示方法の確立
情報開示分科会では、室内の化学物質濃度の測定結果を消費者に開示する方法とこれを普及するための制度的な枠組みについて検討を行った。「室内空気対策研究会情報開示分科会 平成12 年度報告書」によれば、主として「日本住宅性能表示基準等の改正イメージ(案)」をもとに討議が行われ、以下のような点が原則的に了解された。
[1]対象化学物質の指定(ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベ
ンゼン、スチレン)
[2]計測器具(採取機器、分析機器)の明示
[3]計測年月日及び時刻の表示方法
[4]室の名称、採取位置、採取中の室温、相対湿度等、採取条件の明示
[5]計測方法
[6]採取方法、採取時期、採取条件
②規制対象とする化学物質の指定
クロルピリホス(シロアリ駆除剤、表-4.1.7 参照)及びホルムアルデヒドとする。
③クロルピリホスに関する規制
居室を有する建築物には、クロルピリホスを添加した建材の使用を禁止する。
④ホルムアルデヒドに関する規制
a) 内装の仕上げの制限
内装仕上げ材について、合板、木質系フローリングなど17 品目の告示対象建材を定め(建築基準法令[告示])、これらについて、さらにホルムアルデヒドの発散速度に応じて、表-4.3.16 に示す、第1 種~第3 種及び規制対象外の4 等級に区分する。この等級により、居室の種類及び換気回数に応じて、内装仕上げに使用するホルムアルデヒドを発散する建材の面積制限を行う。具体的には、第2 種及び第3 種ホルムアルデヒド発散建築材料については以下の式を用いて計算し、この式を満たしているかどうかを設計の際に確認する必要がある、としている。
2.8S2+0.50S3≦居室*の合計面積
ここで、S2:第2 種ホルムアルデヒド発散建築材料の使用面積
S3:第3 種ホルムアルデヒド発散建築材料の使用面積
*:玄関、廊下、トイレ、浴室、階段、押入などは居室に含まない
表-4.3.16 ホルムアルデヒド発散速度による内装建築材料の区分
b) 換気設備の義務付け
ホルムアルデヒドを発散する建材を使用しない場合でも、家具からの発散があるため、原則として全ての建築物に機械換気設備の設置を義務付ける。
c) 天井裏等の制限
天井裏等は、下地材をホルムアルデヒドの発散の少ない建材とするか、機械換気設備を天井裏等も換気できる構造とする。
runより:今回はここまでです、やっと100ぺージを超えたところですね。
残り130ぺージ程まで来ました、ボチボチですが更新していきます。