その7:第6部:化学物質過敏症に関する情報収集、解析調査報告書 | 化学物質過敏症 runのブログ

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5)国土交通省
国土交通省にあっては、厚生労働省が化学物質の室内濃度指針値を策定したのを受けて実施した、全国の住宅における室内化学物質濃度調査(室内空気対策研究会・実態調査分科会による)において、指針値に対する超過率がホルムアルデヒドで約30%、トルエンで約14%に達したことから、建築基準法の改正に基づくシックハウス対策や、室内空気対策研究会によるシックハウスに関わる測定技術、ガイドライン、住宅改修技術等の研究・開発、を進めている。以下にその概要を示す。

①シックハウス対策技術の研究、開発
国土交通省では、いわゆるシックハウス問題に対応するため、学識経験者や業界団体、関係省庁(建設省[現国土交通省]、厚生省及び労働省[現厚生労働省]、通商産業省[現経済産業省]、林野庁)による「室内空気対策研究会」を平成12 年4 月に設置し、平成17 年までのほぼ6 年間にわたり、6 つのテーマについて、それぞれ分科会を設けて調査・検討を行った。

以下に各テーマについての調査・研究成果等のまとめを示す。

a) 大規模な実態調査の実施
実態調査分科会により、「4.2(2)室内空気中の化学物質濃度 2)室内空気対策研究会調査」で既述のとおり、平成12~17 年度にわたり全国の住宅の室内空気の濃度調査を行った。

b) 化学物質濃度の測定条件や測定方法の確立
測定技術分科会により、室内空気中の化学物質濃度測定機器の把握、目的に応じた機器の選定と測定条件・測定方法の確立へ向けた調査・検討を行った。

「平成14年度 室内空気対策研究会 測定技術分科会 報告書」(平成15 年3 月)によれば、具体的には、VOC 測定機器やホルムアルデヒド採取器についての評価試験を行い、市販パラジクロロベンゼン採取器では、十分使用可能な分析精度が得られる、等が報告されている。

c) 住宅における室内空気汚染メカニズムの調査
汚染メカニズム分科会により、住宅の部材の組み合わせや施工方法による影響、副生成物等の発生状況についての調査・検討を行った。

その結果、「室内空気対策研究会 汚染メカニズム分科会 平成13 年度報告書概要版」(2002 年6 月)によれば、壁紙、壁紙用接着剤などの壁装材料のTVOC(全揮発性有機化合物)放散速度では、初期段階には温度の影響が表れるが、経時的には減衰傾向が支配的であること、また、木質建材を下地としたフローリング床部材の異なる温湿度条件の測定では、高温下にあるほど、アルデヒド類、TVOC、共に放散量が大きくなる、などが報告されている(図-4.3.3 参照)。

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出典:「室内空気対策研究会 汚染メカニズム分科会 平成13 年度報告書概要版」2002 年6 月
図-4.3.3 木質部材による床構造試験体の主なVOC 成分放散速度の経日変化