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神奈川県立保土ヶ谷高校
シックスクール事故の顛末記 Ⅴ
H.Y.(元保土ヶ谷高校教諭・保土ヶ谷高校シックスクール裁判原告)
今回は、2005年8月下旬から2007年4月までの汚染事故の記録である。重大な過失がありながら、全く責任を明確にしない教育委員会の姿勢に、あらためて憤りを感じた。
保土ヶ谷高校の事故は、同校学校史から消えた。
事故以降も全国で、シックスクール事故は続発している。
そのほとんどが、規制された揮発性有機溶剤の使用が抑えられ置き換えられた、健康影響の知見が不明な有機溶剤が原因である。
北海道の小学校のシックスクール事故に際して、「1メチル2ピロリドン及びテキサノール」が原因物質であると突き止めたことが、2011年5月25日(水)の「あさイチ・謎のシックハウス症候群」で報道された。
しかし、テキサノールなどは代用有機溶剤の一角に過ぎない。
保土ヶ谷高校の改修工事に際しても、2005年10月2日の検査記録TVOC41,900μgのうち99%の物質が不明であったにも関わらず、当時の教育財務課は、原因物質を突き止めなかった。
接着剤や防水剤を製造している工業関係者は、事実を知っているだろう。誰もが見て見ぬふりをしている。
家・学校・事務所・工場などすべての建築物は合板を多用している。合板はまさに、接着剤の塊である。保土ヶ谷高校美術室の天井裏では、竣工後30年経っても相変わらずトルエンが発生していた。
合板と塗料、洗剤などに含まれる有害な化学物質や原発事故の放射能に汚染された環境の中で、子どもたちは過ごさなければならない。
床面すれすれの低位置に換気扇の設置を義務づけるなどの建築基準法の改正や、クラック処理の詳細な基準づくりなどをしなければ、有機溶剤汚染事故は、今後も続くであろう。
残念の極みである。
神奈川県に限れば、耐震建て替え工事の際のプレハブ校舎。職員は転勤できるが生徒は転校できない。
雨漏りも続発するであろう。
クラック処理の報告すら受けずに、保全協会に支払いを続けている教育委員会。防水工事をもう一度考えてほしい。
いい加減な態度で、子どもたちの学習している学校は改修されているのである。
2005年8月31日(水) 生徒の健康異常(七つの症状)が報告された。
健康調査(保健体育課):生徒のシックハウス症候群1名判明。卒業生169名に健康調査アンケートを郵送=66人から回答があった。
「9名から異常あり」と報告された(対象者への具体的対応は、非公開)。
9月14日(水) 職員会議にて改修工事内容を検討した。教室再開条件:高校=VOC濃度が他の教室と同程度を要望した。
教育財務課=県対策委員会の判断にゆだねる。
高校要望=北棟3F・西5FのVOC測定結果+PTA視察(安心)美術室に換気扇の設置を要望した。
9月27日(火) フレック検査のVOC放散速度測定結果が本校に届く。(9月15日付け)報告内容:8月18日から23日に行われた西棟、北棟コア抜き検査、コンクリート内の残量検査。
5月採取サンプルのおよそ10分の1になっている。室内側より屋上側からより多く放散した。
10月1日(土) 北棟3階、音楽室、書道室他4教室14か所のVOC検査(52品目)を実施した。
10月2日(日) 西棟5階、部活倉庫他3教室7か所のVOC検査(52品目)を実施した。
10月19日(水) 対策工事完成検査実施。