第5部:化学物質過敏症に関する情報収集、解析調査報告書 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・4.3 化学物質過敏症等に対する対策
「4.1 化学物質過敏症等の病理学的な知見等」で述べたように、いわゆる化学物質過敏症等は、その明確な原因・病態解明には至っていないため、特定された原因への対応・処理といった手法をとることができず、関係諸機関はその対応が難しくなっているが、現時点における対策として、主要な発症原因となっていると考えられる有害化学物質の放散抑制・管理(放散基準や使用基準、室内濃度基準の設定等)や、その影響を防止・軽減する住環境・労働環境の整備(有害化学物質汚染住宅の改修、換気設備の整備等)、患者への対応(医療体制の整備や紛争処理対策等)、原因や治療法解明のための研究などについて、国等による法令や規制等の整備、各種対策の推進、さらには関連する民間企業、団体等による自主的な取り組み等が講じられている。

(1)法的な規制等
化学物質過敏症等に対応するための直接的な措置としては、建築物やその材料における化学物質の規制等の化学物質過敏症等に関する直接的な法規制をはじめとして、様々な規制基準や規格が存在する。
また、化学物質一般に関する規制を行っている法制度等も整備されており、これらの規制等を以下に整理した。

1)化学物質過敏症等に対応するための直接的な措置
化学物質過敏症等に対応するための法律としては、建築基準法、建築物における衛生的環境の確保に関する法律(建築物衛生法)、住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保促進法)が挙げられる。

これら法律の目的及び主な規制内容を表-4.3.1 に、建築物衛生法に基づく空気環境に係わる維持管理基準を表-4.3.2 に示す。

また、化学物質過敏症等に対する直接的な対策としての規制基準として、「学校環境衛生の基準」の改訂(文部省体育局長裁定:教室内の空気環境の判定基準の改訂)(表-4.3.3)、文部科学省による「学校施設の整備に関する指針」の改訂(シックハウス対策の追加)などが挙げられる。

さらには、有害大気汚染物質については、環境省が「環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針値」として7 物質を定めており(表-4.3.4)、また、既述のように厚生労働省の「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」が室内濃度に関する指針値を策定している(表-4.3.5)。

ただし、この室内濃度指針値とは、「現状において入手可能な科学的知見に基づき、人がその化学物質の示された濃度以下の曝露を一生涯受けたとしても、健康への有害な影響を受けないであろうとの判断により設定された値」であり、その設定の趣旨は、この値までは良いとするのではなく、指針値以下がより望ましい値である、としている。
この他、任意基準として農林水産省所管のJAS 規格(表-4.3.6)や経済産業省所管のJIS規格による木質建材や壁装剤、接着剤などについてのホルムアルデヒド放散量基準がある。