・【結果及び考察】
混合群の食品群ごとの各添加物含有量に食品の喫食量を乗じて求めた一日摂取量の6機関の平均を表1に示した。
一日摂取量が比較的多かったのは、保存料ではソルビン酸(5.951 mg/人/日)であり、着色料は食用黄色4号(0.224 mg/人/日)であった。
また、マーケットバスケット方式の妥当性を確認するために、調査対象添加物の表示がある食品中の添加物含有量を求め、個々の食品の喫食量を乗じ合計して得られた計算上の各群(表示群)の一日摂取量を求めて混合群の一日摂取量との比較検討を行った。
安息香酸及びプロピオン酸は、天然由来の成分として食品に内在しているため、表示群よりも混合群の方が高い値を示した。
また、二酸化硫黄は混合群では検出されず、表示群においてのみ検出された。
これは、二化硫黄は混合試料調製過程において分解するためと推測される。その他の保存料及び甘味料は、混合群と表示群とで、ほぼ一致する結果が得られた。
1 安息香酸:安息香酸及び安息香酸ナトリウム
2 ソルビン酸:ソルビン酸、ソルビン酸カリウム及びソルビン酸カルシウム
3 二酸化硫黄:亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、ピロ亜硫酸カリウム及びピロ亜硫酸ナトリウム
4 パラオキシ安息香酸エステル類:パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香
酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル及びパラオキシ安息香酸プロピル
5 プロピオン酸:プロピオン酸、プロピオン酸カルシウム及びプロピオン酸ナトリウム
6 ノルビキシン及びビキシン:ノルビキシンカリウム、ノルビキシンナトリウム及びアナトー色素
7 食用タール色素:食用赤色2号(食用赤色2号及び同アルミニウムレーキ),食用赤色3号(食用赤色3号及び同アルミ
ニウムレーキ),食用赤色40号(食用赤色40号及び同アルミニウムレーキ),食用赤色102号,食用赤色104号,食用赤色105号,食用赤色106号,食用黄色4号(食用黄色4号及び同アルミニウムレーキ),食用黄色5号(食用黄色5号及び同アルミニウムレーキ),食用緑色3号(食用緑色3号及び同アルミニウムレーキ),食用青色1号(食用青色1号及び同アルミニウムレーキ)及び食用青色2号(食用青色2号及び同アルミニウムレーキ)酸
・今回の食品群の分析に基づき見積もられた摂取量と各添加物のJECFA の体重1kg あたりの一日摂取許容量(ADI)に基づく1人当たりの一日摂取許容量の割合(以下「対ADI 比」という。)を表2にまとめて示した。
対ADI比が最も大きかったのは、保存料ではソルビン酸の0.41%、着色料は食用赤色3号の0.14%であった。
ADI が設定されている食品添加物の摂取量は、いずれもADI から計算される1人当たりの一日摂取許容量を大きく下回り、本調査の結果、これらの添加物については安全性上、特段の問題はないと考えられた。
さらに、群別食品中の含有量と年齢層別食品喫食量を用いて算出した年齢層別一日摂取量を表3に、年齢層別の対ADI 比表4に示した。
いずれの保存料及び着色料についても1-6 歳で対ADI 比が最も大きかった。
しかしながら、対ADI 比は最大でも1.186%(安息香酸、1-6 歳)であり、いずれの年齢層においても特段の問題はないと考えられた。