このFukuda診断基準は、比較的わかりやすく臨床、研究ともに用いることの出来る基準であると思われるが、
①症状による診断が中心で、特異的な検査異常が示されていないこと、
②精神神経疾患との鑑別があいまいであること、③疲労の程度を客観的に捉えていないことなど、いくつかの問題点も指摘されてきた。
そこで、2002年5月、筆者らを含めた世界中のCFS研究に携わっている研究者がアトランタ(米国)に集まり、CFSに関するCDC会議が開催された。
ここでは、今後CFSの病因を解明するためには何が重要かということについて主に討議されたが、結論としては、
①研究対象を特定しているCFS診断基準があいまいであり、多種多様な症例がCFSと診断されていること、
②CFSから除外されるべき疾病と共存してもよい疾病が明確でないこと、
③さまざまな疲労の重症度の患者を同一に論じていること、などさまざまな問題点が指摘された。
そこで、これらを明確にしてCFS患者を層別に解析することが、病因・病態の解明に極めて重要であることが確認され、CFSの臨床、研究に携わる世界中の研究者や臨床医たちが利用できるCDCの新たなガイドラインを発表している4)。
文献
1. Holmes GP et al.: Chronic fatigue syndrome: a working case definition. Ann Intern Med 108:387-389,1988
2. 木谷照夫、倉恒弘彦. 慢性疲労症候群. 日本内科学会雑誌81:573-582,1992
3. Fukuda K et al.: The chronic fatigue syndrome: a comprehensive approach to its definition and study. Ann Intern Med 121:953-959,1994.
4. Reeves WC et al.: Identification of ambiguities in the 1994 chronic fatigue syndrome research case definition and recommendations for resolution. BMC Health Serv Res. 3(1):25, 2003.