その4:化学物質過敏症:労災での救済を阻む「個別症例検討会」 | 化学物質過敏症 runのブログ

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■化学物質過敏症の労災認定を阻む個別検討会
 実は、これまで化学物質過敏症が労災認定された事例は皆無ではありません。

2008年2月、総務省の公害等調整委員会が発行した「化学物質過敏症に関する情報収集、解析調査」報告書には、化学物質過敏症等による労災認定の主な事例が報告されています。

 情報源はマスメディアに掲載された記事によるものですが、この中で、1998年12月、東京都立川市の航空機厨房等製造工場で燃焼試験でのガスを吸引した2名が化学物質過敏症を発症して認定を受けています。

また、2004年6月、愛媛県でも職場で塗料に含まれる化学物質(トルエンとキシレン)を吸引した労働者1名が化学物質過敏症を発症し認定されています。

05年3月には、神奈川県の地球環境戦略研究機関で発生した建物内のホルムアルデヒドによるシックハウス症候群も認定されています。

しかし厚生労働省が07年6月に「化学物質に関する個別症例検討会」を設置して以降、化学物質過敏症による労災は認められなくなりました。

 個別症例検討会は、化学物質過敏症を「化学物質を吸引し続け急性期の症状が慢性化したもの、あるいは、化学物質を吸引し続けたことによる遷延化した症状」であるとする一方で、遷延化した症状については「未だ医学的な合意が得られていない」という理由で化学物質ばく露との因果関係を認めないという意見を出し、化学物質過敏症の労災をことごとく却下し続けています。

 情報の開示請求をしても、個別症例検討会の意見書の肝心な「業務起因性に関する意見」の箇所は全部不開示で真っ黒です。

主治医や東京労働局の労災専門医の意見を全く無視し、個別症例検討会の意見書だけを根拠に業務外としているにもかかわらず、決め手になった意見書は請求人に開示されません。

まるで隠された証拠を基に判決を出すようなもので、到底許されるものではありません。
 

2009年10月、電子カルテシステムや電子化診療報酬明細(レセプト)で使われる病名リストに「化学物質過敏症(CS)」が新たに登録されました。厚生労働省はこれまで「医学的に合意が得られていない」ことを理由に、化学物質過敏症を健康保険適用の傷病名として認めていませんでしたが、今回の病名リスト改訂により、化学物質過敏症での健保請求が可能となりました。

化学物質過敏症の被災者はたいへん苦しい生活を強いられています。

化学物質過敏症の病名リストへの登載は、患者さんや支援団体のねばり強い取り組みの成果であり、大きな前進と言えましょう。

 労災保険診療は、健康保険準拠を原則としています。

個別症例検討会が化学物質過敏症を認めようとしないのは、診療請求対象を病名リストに登録した厚労省自らの決定に反するものです。

化学物質過敏症を労災として認めさせるためには、まず現行の「化学物質に関する個別症例検討会」を廃止させ、労基署段階での決定を迫っていかなければなりません。


編集注: 「化学物質に関する個別症例検討会」: 委員名(08/8/19現在):相澤好治(北里大学医学部・衛生学)、秋山一男(国立相模原病院臨床研究センター長・アレルギー)、岸 玲子(北海道大学大学院医学研究科・公衆衛生学)、西中川秀太(東京労災病院消化器内科)。
 委員には、化学物質過敏症の専門家は一人も入っていないことがわかります。

個人情報保護を盾に、審議非公開、議事録も概要だけ、資料も非公開とまったくの密室審議です。
 以下ウェブサイト参照ください。

厚生労働省ウェブサイト
http://www.mhlw.go.jp/shingi/other.html#roudou


runより:>個別症例検討会の意見書の肝心な「業務起因性に関する意見」の箇所は全部不開示で真っ黒です。

とありますが昨日掲載した記事の様に本当に外部では知る事が不可能。

ちなみに委員ですが厚労省の研究メンバーで化学物質過敏症はよく知っているはずの方々です。

厚労省は保険適応と引き換えに労災認定を厳しくしたとしか思えない、労災申請出来る様にしたが認めないという矛盾が起こっています。