・(4) 応急措置
a.中毒が発生した時、まずやるべきこと
ア.直ちに医師の診断を受ける。
イ.医師への連絡事項(誰が、何時、何処で、何人で、使用薬剤名、どうしたか)。
ウ.付着した薬剤の排除をできるだけ早く実施する。
エ.患者を現場から新鮮な空気の場所に隔離する。
オ.衣服をゆるめ、安静にする。
カ.毛布、布団、必要あれば湯タンポなどで保温する。
キ.嘔吐がある時は、首を横に曲げて吐かせ、肺に吸い込まないようにする。
b.薬剤の中毒症状
クロロニコチニル系 経口摂取の場合
全身症状:頻脈、血圧上昇、嘔気、嘔吐、痙攣
フェニルピロール系 酸化的リン酸化の共役阻害
遅発性
軽症:嘔吐、下痢
重症:意識障害、発汗、発熱、頻脈、肝障害、痙攣、筋硬直、腎障害、
血圧低下
オキサジアジン系
防蟻剤
軽症:運動量低下、体温低下、姿勢異状
重症:痙攣、振せん、歩行異常、平均失調、呼吸異常
カーバメイト系
防蟻剤
軽 症:頭痛、目眩、悪心、嘔吐、発汗、流涎、縮瞳
中等症:歩行困難、言語障害、縮瞳、発汗、頻脈
重 症:意識混濁、対光反射の消失、全身痙攣、縮瞳、失禁
(一般的には、有機リン系薬剤と同様の症状であるが、中枢神経症状は軽く、また、発汗及び回復は有機リン系薬剤よりも早い)
ピレスロイド系
防蟻剤
軽 症:くしゃみ、鼻炎、皮膚アレルギー、流涎、紅斑、頭痛、
軽度の運動障害
中等症:運動失調、目眩、筋攣縮、手指足の振れ、唾液分泌過多
重 症:全身性運動失調、失禁、痙攣、肺浮腫、呼吸停止
クロルフェノール系
防蟻剤
軽症:食欲異常亢進、倦怠感、脱力感、頭痛、意欲減退、記憶力減退、
感情不安、息切れ、四肢の痺れ感
重症:悪心、嘔吐、発汗、苦悶、血圧低下、頻脈、胸痛、肝臓機能障害、
肺水腫
有機金属系
防腐剤
全身症状:口腔・食堂の均熱感、嘔吐、激烈な疝痛、頭痛、目眩、下痢、
血圧・体温低下、虚脱状態、歩行障害
中等症状が強くなると、貧血、肝・腎障害、意識消失して循環不全で死亡
皮膚粘膜刺激症状:皮膚炎、結膜炎
ハロゲン含有有機
防腐剤
軽症:食欲不振、嘔吐、脈拍不整、血糖値の低下、チアノーゼ
重症:全身性間欠性、強直性痙攣、意識障害、血圧低下、呼吸異常、 心
臓頻脈、発熱、心不全
・c.事故発生時の対応
ア.安静にして119 番する。
① 事故現場の住所、氏名、電話番号。
② 人身の状況(誰が、何時、何処で、何人で)、使用薬剤名、解毒剤の名称。
イ.救急車が到着するまでは、安静に保つ。
① 医師、救急隊の指示があればそれに従う。
ウ.会社に連絡し、指示を受ける。
エ.会社の対応
① 事故に対する総合的な処置について、(財)日本中毒情報センターに問い合わせ、参考にすること。
中毒110 番
(大 阪) 072-727-2499 365 日 24 時間対応
(つくば) 029-852-9999 365 日 9~21 時対応
化学物質(タバコ、家庭用品 etc)、医薬品、動植物の毒等によって起こる
急性の中毒について情報提供しております。
異物誤飲(石ころ、ビー玉等)や食中毒、慢性の中毒(アルコール中毒、シンナー中毒等)や常用量での医薬品の副作用は受け付けておりません。
② 病院に対しては、薬剤事故の場合、有効成分の名称を知らせる。
③ 交通事故の場合、他の規定に従う。
runより:応急処置は化学物質過敏症患者の防衛策の参考になります。