・予防原則の履行
Implementation of the Precautionary Principle
9.9 予防原則をどのようにいつ使うかということは、国内的及び国際的にかなりの論争を起こしてきた。
政治枠組み内で、釣り合いがとれた差別のない一貫して透明な行動を、この原則の名前でするために、異なる見解間の正しいバランスを発見することが必要である。
9.10 リスク分析の枠組み内で(付録8.1を見よ)、予防原則はリスク管理の一部である。
予防原則は、リスクアセスメント時に科学者が使う用心の要素と混乱すべきでない。159
付録9.1のリスク管理決定ツリーの中で、予防原則が関連すると思われる領域を指示した。
異なる領域及び分野は、望ましい保護レベルに応じてやや異なるやりかたで予防原則を適用するだろう。
農薬の場合、農薬は設計により有毒なので、高レベルの保護が望まれる。本質的に、農薬は有毒であるという先験的仮説を採用するなら、リスク管理問題への答えがはっきりしない場合、PMRAは常に予防原則を適用すべきである。
9.11 より一般的に、欧州共同体委員会は予防原則適用のために基準を確認している。基準は次のようであるべきである。
・ 選択された保護レベルに比例
・ 無差別に適用
・ 既にとられた同様の対策に一致
・ 行動又は行動しないことに関しては、潜在的費用便益の検査に基づく
・ 新しい発見に照らして再評価の対象にすること
・ 更に包括的リスクアセスメントのために必要な科学的証拠を作るために責任を割り当てることの可能性
9.12 予防原則を取り囲む考察は進行中であるので、私たちは一貫した政策が確実に作られるように、国内及び国際的議論の両方で役割を果たし続けることが、PMSRにとって重要であると信じる。
9.13 本委員会は、リスク管理決定は予想される被ばくを考慮に入れずに、物質の危険(又は内在する毒性)にのみ基づくべきであると感じている一部の証言人から話を聞いた。
ロザリー=バーテルは、子供への潜在的外が非常に大きいので、ハザードアセスメントのみに基づく予防原則の使用が正当化されると信じている。160
実際、カナダ政府は最も危険な物質の実質的排除を計画しているが、連邦毒物管理政策の下でこれらの物質の確定手続きは潜在的被ばくと内在する毒性を考慮に入れる。
何らかの危険を与える全化学物質を排除することは現実的でない。
つまり、リスク管理がいかに予防的であるかに影響するものを、適切にすることができる政策がある。
9.14 リスク管理において、誤りが起こりうる2種の状況がある。
一つは実際に将来の証拠がリスクは受け入れられるだろうことを証明した場合、農薬を登録しない決定がされた場合である。
第二はリスクは受け入れられないことを、実際に将来の証拠(モニタリングデータのように)が証明した場合、農薬を登録する決定がなされた場合である。
明らかに、これらの両方のシナリオから結果が生じる。
9.15 予防的方法はある農薬に関連するリスクが恐らくあるだろうと証拠が示す場合、それは登録されてはならないと命じ、こうして第一の種類の誤りをおそらく犯すだろう。
この種の過誤のみを許し、第二の過誤を許さず、こうして効果的に全農薬を禁止する、ロザリー=バーテルやメリッサ=マクドナルドを含む人がいる。161
ほかの人は、決定が健全な科学に基づいていなかったかもしれないが、登録された一部の農薬が持っている過誤の可能性を喜んで認める。162
環境と持続可能な発展に関するコミッショナーが1999年12月13日に本委員会に指摘したように、予防原則は健全な科学を用いない言い訳として用いるべきでない。
リスク管理者は、リスクがゼロにめったに減らないことを認める。163
こうして、登録されるべきでない農薬の登録がされる。
しかし、この目標は科学研究が利用できる最新で厳密なものであることを求めることによって、この種の過誤を最小限に保ち続ける。