・北部の住人
Residents of the North
7.5 カナダ北部は、西方ではビューフォート海から東方でダービスストライトに至り、北部でエルズミア島から南部でハドソン湾に至る、北緯60°以上の地域として大ざっぱに定義されている(北極と亜寒帯)。102
この地域はカナダの陸地面積の40%をなし、4万以上のの原住民を含む8万の人口がある。
農薬を使って働く人々と同様に、北部住民は他のカナダ人よりこれらの汚染物質と大きな接触をしている。
この一つの理由は、北極でその使用が事実上知られていなくとも、農薬と環境に関する章で先に考察したように、ある種の物質、特に残留性のある物質は大気輸送を通じて北部に終わる(図 4.2)。
残留性有機汚染物質(POPs)の一つのグループ、有機塩素は私たちの環境中で重大な量がいぜんとして発見される。
その性質のためにカナダで大部分は現在禁止されているが、一部の国々はいぜんとして使っている。
北部の原住民は狩猟肉と魚の伝統食を持っており、それは化学物質で汚染されていることが多く、こうして原住民の化学物質に対する全被ばくは高い。103
カナダインデアン及び北部業務Indian and Northern Affairs Canadaの北部科学及び汚染物質研究Northern Science and Contaminants Research所長、ダビット=ストーンから、野生動物肉の高い消費のため、北部に住む人々はカナダ南部の人より血中にかなり高濃度のPOPsがあることを、本委員会は学んだ。イヌイットは体中にトキサフェン及びクロルデン・PCBの蓄積によって特に影響を受けている。
胎児と授乳中の幼児はそれぞれ胎盤及び母乳を通じて吸収されたPOPsに特に影響を受けやすい。
最近の発見によると、ヌナビット出身の女性でイヌイットの母乳中の有機塩素濃度は南部の非原住民集団中で測定された濃度より2倍から10倍高い。104
7.6 これらの結果は北部の人々に知られ、懸念されるが、イヌイット周極会議Inuit Circumpolar Conference及びカナダインデアン北部業務の代表は、伝統食の消費を必須で不可避的にしている経済的・社会的・健康的な側面のために、伝統食はイヌイットの生活で重要な役割を果たしていることを、本委員会に説明した。
例えば、伝統食を市販製品で置き換えるために年間3500万ドル近くを要するであろうと推定されている。
また、研究者は伝統食が南部から運ばれる食品より健康的で栄養が多いと考えている。
カナダインデアン及び北部業務に支持された北部汚染物質計画の第一段階結果によると、伝統的食品摂取の低下は、肉体活動減少や肥満・虫歯の穴・貧血・感染に対する抵抗力低下・糖尿病のような、広汎な否定的結果を懸念されるこの集団に招くだろう。
狩猟と漁業も重要な社会文化的活動である。
イヌイットは日常食に伝統的食品を入れることを奨励され続けている。105 専門家は伝統食を消費しないことに関連する危険は、これらの食品中に存在する汚染物質に対する長期被ばくに関連する危険より大きいと考える。本委員会は、この集団をより良く保護するため、北部の汚染問題に対し十分な財源を割り当てることが非常に重要であると結論した。