・有機塩素の影響
The Effects of Organochlorines
良く知られている有機塩素:アルドリン、クロルデン、DDT、デルドリン、リンデン、マイレックス、トキサフェン
5.4 議事進行過程で本委員会は、同じグループ内の農薬は同じ種類の影響を起こすことを学んだが(付録3.2)、個々の農薬はその本来の性質によって異なる影響を持つことがあるため、各農薬は個別に研究しなければならない。
3つの性質を共有する有機塩素を最初に考察しよう:残留性、脂溶性、揮発性。
これらの物質は環境中で一般に容易に分解せず、高い脂溶性のため哺乳動物のある種の組織中に蓄積する傾向を持つ。
こうして汚染物質は、食物連鎖で高い捕食者の組織中で高度の濃縮に達する。この現象は生物濃縮として知られている。
カナダで、魚を食べる捕食者ミミヒメウはカナダ南部全体、特に人的活動が集中している場所に広く分布しているため、残留性有機塩素レベルの全国指標として用いられている。58
一層残留性で生物濃縮性有機塩素の大部分は北米及び欧州で20年以上前にで禁止されているが、安価で病気を運ぶ昆虫に対して有効であるため、一部の残留性有機塩素はいぜんとして開発途上国で使用されている。59
5.5 有機塩素は鳥類の受精能力減少及び卵殻の薄さの原因でもある。
本委員会は、有機塩素は癌及び免疫系の弱さ・ホルモン機能のかく乱のような、人間である種の慢性的健康問題を悪化させることが疑われている。次の組織がこの懸念を浮き彫りにしている:世界自然保護基金・カナダ小児保健研究所Canadian Institute of Child Health・カナダ学習障害連盟Learning Disabilities Association of Canada・カナダ公衆衛生連盟・カナダシエラクラブ・カナダ環境防衛基金・オンタリオ家庭医師大学Ontario College of Family Physicians・カナダ環境法連盟Canadian Environmental Law Association・カナダ環境医師連盟Canadian Association of Physicians for the Environment・イヌイット周極会議 Inuit Circumpolar Conference。
残留性生物濃縮農薬の健康影響
Effects on Health of a Persistent, Bioaccumulative Pesticide*
有機塩素農薬デルドリンは1950年代に導入された。
カナダでデルドリンは林業と農業で、家庭用と産業目的の両方でに使われた。
デルドリンの使用は健康への影響が最初に注目された1970年代初期に禁止され、現在登録されていない。
多くの国で長く使われなくとも、環境中でのデルドリン残留は科学者に長期健康影響研究を促した。
182日の半減期を持つ物質は残留性と考えられる:デルドリンの半減期は182日から7年の間と推定されている。
急性又は短期被ばくに続く殺虫剤の影響に加えて、デルドリンは深刻な慢性影響を起こすと疑われている。
・ デルドリンは天然に存在するホルモンの模倣をし、ホルモン又は内分泌系に干渉する。
・ 一部の科学者は他の農薬と混ぜられた場合の相乗作用に注目している。
例えば、クロルデンはデルドリンのホルモン攪乱の潜在性を増加させる。
・ 他の内分泌かく乱物質と同様に、デルドリンは乳癌の発達に関連するかもしれない。
・ デルドリンは中枢神経系及び肝臓に影響を及ぼすだろう。
*この報告中で引用された科学論文に基づいて準備された要約。