・出展;国立環境研究所
http://www.nies.go.jp/index-j.html
ハウスダストとアレルギー
佐野 和美
アレルゲンとしてのハウスダスト
どれだけきれいにしていても、ハウスダストは溜まります。
床を這い這いする赤ちゃん、全身を毛繕いするペットなど、床面に近いところにいる生物への影響が心配されます。
ハウスダストによる人体への影響で、一番よく知られているのは、アレルギー性疾患を引き起こす『抗原(アレルゲン)』になることです。
花粉症も、このアレルギーの一種です。
くしゃみが出たり鼻水が出たりといった不快な症状が起きます。
アレルギーは、時にはぜんそくなどの深刻な症状を引き起こすこともあります。
ハウスダストとひとことに言っても、その中には、動物のフケ、ダニ、カビ、、衣類の繊維など様々な物質が含まれています。
その多くはダニの死骸など動物性の物質ですが、実は、プラスチック製品からも微量な物質が削り取られ、ハウスダストの構成成分となっています(2013年3月号「ハウスダストの組成とPBDEsの粒径分布:代表的な試料を得るために」参照 )。
これらの構成成分のうちどの物質がアレルゲンとなっているのかは、厳密にはわかりません。
ディーゼル排気微粒子(DEP)や、プラスチック製品に含まれるフタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)など、アレルギー疾患を悪化させる化学物質も知られており、研究がすすめられています(環境儀NO.27 アレルギー性疾患への環境化学物質の影響)。
ハウスダストに含まれている物質を科学的に分析することで、どの物質がアレルゲンとなっているのか、少しずつ明らかになっていくでしょう。