http://homepage3.nifty.com/ci/under-siege.htm
包囲攻撃網下にある化学物質過敏症(者)
米国・ニューメキシコ化学物質過敏症対策委員会 議長マッキャンベル医学博士 著
『エリン・ブロコビッチ』や『シビル・アクション』は、工場廃水に汚染された飲料水が原因で病気になった地域住民たちの実話を描いた映画です。
その住民たちの苦悶は、危害をもたらした企業の責任を追求する事が、一般市民にとって如何に難しいかをまざまざと示しています。
汚染された空気や水に曝されても、シリコンの乳房植え込みでも、タバコでも、あるいは他の化学物質による被害であっても、通常、個人が正義を問うことは、さながら巨人ゴリアテに挑む勇者ダビデのように、一般市民自らが巨大企業に立ち向かう闘いを意味します。
自らが引き起こした危害に直面したとき、企業はその典型的な行動として、被害者を非難し、問題を否定し、加害責任を回避しようとします。化学物質過敏症(MCS)者に対する企業の対応も、ずっとそうでした。
化学物質過敏症は、殺虫剤、塗料、溶剤、芳香剤、カーペット、建材、清掃用品など、一般的に用いられている様々な製品によって発症します。
しかし、これらの製造元は、その製品が安全ではないという通報を受け入れるどころか、通報者の口を封じようとしたのです。
そのために化学製造業界は、反化学物質過敏症キャンペーンを開始しました。
化学物質過敏症に関して議論しているかのような錯覚を作りだし、化学物質過敏症の存在を疑問視しようとする企てです。
タバコ業界について指摘されてきたのと同じことが、化学物質過敏症に対する化学業界の対応に、そのまま現れたのです。
それは、『提示される異論はすべて、企業がらみの執筆者によるもの(1)』であった、ということです。
化学物質過敏症が『疑問の余地あり』と扱われたり、多くのジャーナリストが化学物質過敏症について『両サイドの意見』を報道すべきであるように
感じたり、化学物質過敏症が存在すると言う人と存在しないと言う人を同等に扱おうとするのは、化学業界の懸命な広報活動によるものです。
しかし、これは大変な誤りです。
なぜなら、化学物質過敏症について適切な観点は二つとないからです。
もっと正確に言えば、深刻で、慢性的で、しばしば生活に支障をきたす疾患
が現に存在し、それが化学業界による攻撃下にあるのです。
化学物質への敏感さを引き起こしたり激化させることに関与している、殺虫剤、カーペット、芳香剤、その他の製品の製造会社は、化学物質過敏症の退散を強く欲しています。
かなり多くの住民が化学物質に敏感であると報告し、さらにその数は増えつづけているにも関わらず、たっぷり長く攻め続けることさえできれば、その疾患は消滅する、と化学業界は思っているようです。
そのために、化学企業は化学物質過敏症に対して四方八方からの攻撃に
出ました。
つまり、患者は『ノイローゼ』で、『なまけもの』であり、彼らを助ける医師は『いんちき』であり、化学物質過敏症を支持する科学的な研究結果には『欠陥』があり、さらなる調査への要求は『無用』であり、化学物質過敏症を発症した人々の生理的被害を立証する臨床検査の結果は『信憑性がなく』、化学物質過敏症者への政府の支援計画は『職権乱用』であり、化学物質過敏症者に同調する人々は皆『情け知らず』であって、自分が病気であるという患者の『信念』を強化している、とのレッテルを貼りました。
さらに化学企業は、訴訟で裁判官達への影響力を武器に、押しを利かせ、
化学物質過敏症の証言是認を妨害しました。
タバコ企業と同様に化学企業も、自社製品が安全であると説得するために、耳障りの良い名称をつけた表向きの非営利組織を利用したり、中立を装った第三者の代弁人や、金で操った科学的研究を使うことがしばしばあります。
こうしたことで、化学企業はさらなる科学的客観性を装い、偏見や損得だけ
に取り憑かれた政策を覆い隠して、化学物質過敏症に関する科学的な『論争』という錯覚を作り出すようにし向けています。
医師、研究者、記者、害虫駆除業者、民間組織、国家公務員など、反化学物質過敏症の声明が誰から出ようと、間違ってはいけません・・・その反化学物質過敏症運動は化学製造業者によって推進されています。
これは、化学物質過敏症についての本当の話です。