特発性環境不耐症 (IEI)の元々の考え方。:2 | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

 この問題に関するワークショップがベルリンで1996年2月に開かれた.これは,WHO の国際化学物質安全計画 (IPCS) の主催で,問題の全体を考慮できるように計画され,会議の記録は WHO から出版されている.

 MCS の難問は診断基準から始まる.

症状には,頭痛,動悸,疲労,眩暈,嘔気,記憶喪失,脱力感,筋肉痛,腹痛,息切れ,等があり,他に皮膚などのどの器官が侵されることもあり得る.喘息などの一群を除けば,客観的な症状は稀である.

1987年に,Cullen はこの病気はある化学物質によってある時発病し,以後多数の物質によって誘発されるようになる,とした.

しかし,Li の試験で MCS 患者に物質の名前を示さないで曝露したとき 20 例のうち1例も症状を現さなかった.

試験では,患者が過敏症であると信じている物質,フォルムアルデヒド,天然ガス,洗剤,灯油燃焼ガス,トリクロロエタン,フロン,変性アルコール,印刷インキ,油性ペイント,殺虫剤が用いられた.

試験は「環境調節室」の中で,目隠し方式で行われた.

 客観的な所見が欠如しているが,免疫学的な検査および他の検査成績も検討されている.

会議に参加した医師たちは,これは独立した疾病ではなく,いくつもの別な説明が必要であろうとの推定が一般的であった.

慢性疲労症候群や湾岸戦争後遺症との比較検討が行われた.

それらは,MCS よりは客観的な所見と曝露の病歴があるが,判断はきわめて難しく,注意深い検討が強調されるにとどまった.

ワークショップの結論は,満場一致ではないが,MCS は臨床的に明確な疾病とは認められず,名前も誤解を招くので変えるべきだ,とされた.

「(多種)化学物質過敏症」の代わりに,Gothe は「環境心身症 Environmental Somatization Syndrome」を提唱したが,会議では「特発性環境不耐症Idiopathic Environmental Intolerance(IEI)」を採用した.

今後,臨床生態学者たちがこれに同意するかどうかが待たれている.

 環境汚染が健康障害を起こす危険があること,は会合した医師たちは認めているし,その問題に医学が十分に答えられないということも感じている.

争いの問題点は,支持する科学的な根拠もないのに病名を付け,治療や運動の拠り所とすることなのである.


runより:特発性環境不耐症 (IEI)はこういう考えで生まれた物ですが皆さんご存知の通り主流にはなりませんでした。

精神の関与は私も思うのですが心因性とするには根拠が乏し過ぎます。

シックハウス症候群経由化学物質過敏症と直接化学物質過敏症になる違いの説明もつきません。

また特発性環境不耐症 (IEI)を強く主張しているのはスェーデンぐらいで各国は多種類化学物質過敏症を採用しました。

関西労災病院の論文はこの特発性環境不耐症 (IEI)の考えを元にしてますがどうも利害を感じてしまいます。

理由はまたの機会にしますね。