早期警告からの遅すぎる教訓:2 | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

21 携帯電話使用と脳腫瘍のリスク:早期警告、早期行動?
レナート・ハーデル、マイケル・カールベルグ、デヴィッド・ギー
2011 年、世界保健機関の国際がん研究センター(IARC)は、携帯電話と、
同様の非電離放射線の電磁場(EMFs)を発生させるその他の機器からの電磁波を、グループ2B、つまりヒトに対して発がん性の「可能性」がある、と分類した。

9 年前にIARC は、頭上の電力送電線からの磁場を、同じ2B に分類している。
携帯電話に関するIARC の決定は、携帯電話使用と脳腫瘍の潜在的な関連性に関するヒトを対象にした2 組の症例対象研究に、主に基づいている。

それは、IARC インターフォーン研究とスウェーデンのハーデル・グループの研究だ。
どちらの研究も、相補性があり、概して互いに支持的な結果を提示した。

本章は、2011 年のIARC 決定に至る議論とレビューだけでなく、二つのグループ—そして異なる結論を導いた他のグループの―研究の報告を述べる。

また、様々なグループが、権威あるIARC 評価を、非常に相違して、どのように解釈したかも記述する。
携帯電話と脳腫瘍について、今までにいくつかのメタ・アナリシスとレビューがこれまでに発表されている。

それらは、この問題について疫学的に行なっている問題、これまでに発表された主な研究の方法論的な限界、そしてそれらの結果の解釈の難しさについて述べている。
脳腫瘍発症率の国レベルのデータは、症例対象研究で観察された携帯電話と脳腫瘍の関連性を、適格または不適格にするために使うことができるだろう、と提唱されてきた。

しかしながら、方法論的な欠点に加えて、記述的な研究でわかっていない脳腫瘍の他のリスク因子への被曝の変化などの、全体的な発症率に影響する他の因子があるかもしれない。

がんの発症は、病気の開始、促進、発達によって決まる。無線周波数電磁場の発がんメカニズムは、はっきりしていないので、脳腫瘍発症に関する記述的データは値が限られているという見解を支持する。
この章は、多様な研究の検討とIARC 発がん分類の考慮における携帯電話産業の無気力さを、そして潜在的な健康リスクについて豊富で一貫した情報を公衆に提供することにメディアが失敗したことを指摘する。

IARC 発がん性分類も、電磁波の広範な発生源から公衆衛生を守るという政府の責任の認識に、大きな影響を与えなかったことも示す。
携帯電話通信の利便性は多数あるが、そのような利便性は、危害が広範囲に広まる可能性を考慮する必要がある。

今、頭部への被曝を減らすための予防(原則)的行動は、存在するかもしれない脳腫瘍のあらゆるリスクの大きさと深刻さを制限するだろう。

被曝削減は、脳腫瘍の症例研究で検討されていない、その他の潜在的な害を減らすことにも役立つだろう。
神経膠腫と聴神経腫を発症した無線電話を長時間使うヘビーユーザーの労働者は補償されなくてはいけない、とする証拠が増えている。

世界初の判決は、2012 年10 月12 日に確定した。イタリア最高裁判所は、労働者のための保険団体(INAIL)が、無線電話を12 年間使って脳の神経腫になったビジネスマンに補償を与えなくてはいけない、とした前判決の上告を棄却した。