・放射能・ベクレル・半減期 -放射線研究をめぐるまぎらわしい用語-
特集 震災放射線研究
【環境問題基礎知識】
田中 敦
東日本大震災以後、放射能をめぐるニュースや報道はおびただしいものがありました。
その中には、明らかに誤解に基づいたような解説も含まれていたようです。今回、いくつかの誤解しやすい用語をなるべく平易に述べてみたいと思います。= 放射性物質・放射線・放射能 =
3つの似かよった用語-放射性物質・放射線・放射能-については、ホタルや花火のような例えを使って説明されることが多いようです。
ホタルの場合で言うと、ホタル自身が放射性物質、ホタルから出る光が放射線、ホタルが光を出す性質(能力)が放射能に相当します。
このような例えと実際の放射性物質との決定的な違いはどこにあるでしょうか。
ホタルは、闇夜を飛び回りながらぽっぽっと一晩中光り続けることができるのですが、1個の放射性物質は一度しか光る(放射線を出す)ことができません。
正確に言いますと、一度放射線を出して、別の放射性物質に変化するケースもあります。放射性セシウムの場合は、放射線を出す(崩壊する)ことで、セシウムではない物質に変化してしまいます。
加えて、放射性物質は自分から飛び回る(移動する)ことはありません。
屋内に土壌が入らないように工夫すれば、室内に放射性物質はなくなり、壁を通して入ってくる放射線だけになります(図1)。