残されたダイオキシン問題 | 化学物質過敏症 runのブログ

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出展:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
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・残されたダイオキシン問題
-沖縄のエージェント・オレンジ疑惑の早急な真相解明を-
愛媛大学農学部環境先端技術センター研究員 渡 邊  功
 エージェント・オレンジ(オレンジ剤)は、1960年代のベトナム戦争当時、アメリカ軍がジャングルを枯らし敵の輸送路や食糧源を絶つために戦略上用いた枯葉剤の一つで、化学兵器として使用された(これらの枯葉剤は、成分や混合比の違いによって分類され、オレンジ、ホワイト、ブルー、ピンクなど色彩の名前が付けられていた)。

オレンジ剤は、トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5-T)とジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)の混合物で、使用された枯葉剤の6割以上を占め、高毒性を有する2,3,7,8- テトラクロロジベンゾ・パラ・ジオキシン(2,3,7,8-TCDD、ダイオキシン類の中で最も毒性の強い物質)を副産物として大量に含んでいた。

オレンジ剤の健康影響は軟部組織肉腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、塩素?瘡、皮膚ポルフィリン症、2型糖尿病、呼吸器がん、前立腺がん、多発性骨髄腫などを誘発し、また、流産、死産、先天障害などの出産異常を引き起こすといわれている。
 今、この枯葉剤が沖縄での輸送・貯蔵・使用・基地内埋却などの疑惑を生じている。沖縄はベトナム戦争当時、米国の統治下にあり、米軍の補給・前線中継基地であった。

英国人のフリ-・ジャーナリストのジョン・ミッチェル氏が、沖縄に駐留していた元米兵の証言を得て、平成23年4月12日、ジャパンタイムズに載せた記事が、枯葉剤疑惑の発端だった(注)。

記事の中で複数の元米兵は、沖縄米軍基地で、オレンジ剤の基地境界フェンス周辺の雑草への使用、オレンジ剤の貯蔵、運搬および作業中の事故によるオレンジ剤の被ばくなどを証言している。

その後、さらに多くの元米兵が証言し、破損したオレンジ剤の入ったドラム缶の基地敷地内での埋却目撃などの証言も行っている。

彼らの多くはダイオキシンによると思われる糖尿病やがんなどの後遺症を患っており、彼らの子供たちもまた先天障害疾患に苦しめられていると証言している。

ジョン・ミッチェル氏の記事の後、国内で沖縄の枯葉剤疑惑についての衝撃的報道や記事がいくつか報告されている。

例えば、平成24年5月20日、朝日放送「ザ・スクープスペシャル―沖縄返還40周年特別企画 米軍は沖縄で枯葉剤を使用した!?」、平成24年10月7日、琉球朝日放送「テレメンタリー2012―枯葉剤を浴びた島~“悪魔の島”と呼ばれた沖縄~」、平成24年8月、月刊誌「世界」(岩波書店)の8月号片山正彦氏の記事「沖縄に残る枯葉剤の傷痕」などである。
 元米兵の証言など一連の報道を受けて日本政府は、あらためて米側に事実関係の確認を行ったが、平成23年8月19日付で、「返還前の沖縄における米軍による枯葉剤の保管、使用などに係る今回の報道に関し、再度米側に対し事実確認を求めていたところ、今般、米国国防総省から、今回改めて過去の記録の確認作業を行った結果として、米軍が返還前の沖縄で枯葉剤を保管し若しくは使用した、又は沖縄へ持ち込んだことを示す資料は何ら確認できなかった旨の回答があった。

また、外務省としては、事実関係を更に詳しく承知するため、米側に更なる確認を行っているところである」とプレスリリースするに止まっている。