EU農薬規制枠組みの進化:2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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 ただし、有機リン系農薬が全くヨーロッパで使われなくなったかというと、そうではなく、スペインではオレンジ果樹の処理に有機リン系農薬が使われ、付近ではミツバチの大量死が発生するなどの問題が生じている。

これらの有機リン系農薬は2016年から2020年に許可期限が訪れる有効成分が大半であるため、有効期間延長のための承認が得られるかどうかが注目される。

ネオニコチノイド系農薬に対する対策
 ネオニコチノイド系農薬は有機リン系農薬に代わる農薬として近年、そのシェアを拡大しているが、1990年代からミツバチの減少が野外で観測されるようになり、ネオニコチノイド系農薬がその原因であると疑われている。

その根拠として、ネオニコチノイド系農薬の使用とミツバチの減少に相関があること、ミツバチの残留農薬分析の結果、ネオニコチノイド系農薬へのばく露が判明したこと、環境中に存在しうるネオニコチノイド系農薬濃度によってもミツバチに対する毒性が観測されたこと、などが挙げられる。
 これらの問題に対して、養蜂家がデモを組織し、「ミツバチは社会の監視役」であって、ミツバチに問題があれば、その環境すなわち我々の環境に問題がある、という主張を広めた結果、市民社会では「環境の指標」としてのミツバチの役割に関心が高まることとなった。
 これらの動きを受けて、EU各国は個別のネオニコチノイド系農薬製品の使用を停止するとともに、欧州委員会はネオニコチノイド系農薬について再度の評価を行っている。

最終的に承認取消がなされるか否かの決定はまだなされていない。

まとめ
 2009年には農薬の上市に関する規則が制定され、それまでより厳しい規制がなされるようになった。

ヒトや動物に対して、急性・晩発的な有害性がないことが求められ、これには直接・間接を問わず、累積的影響や相乗効果がないことも含まれる。
               (報告:馬場 篤子)