・出典JAcom
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GM食品、消費者の「知る権利」にどう応えるか
遺伝子組み換え作物が市場に出て17年。世界的な食糧不足が予測されるなか、今後、遺伝子組み換え作物が増えることが確実視されているが、情報発信は十分とは言えない。そうしたなか、5月30日、遺伝子組み換えを推進する団体・バイテク普及協会によるセミナー「遺伝子組み換え作物に関する安全性と消費者が求める情報発信」が開催された。私たちは遺伝子組み換え作物とどう向き合えばいいのか、考えるヒントにしたい。
◆「世界が食べられなくなる」?
今回のセミナーについて、事務局の鈴木正宏さんは「日本では遺伝子組み換え作物について科学的な情報がほとんど伝えられていない。その危機感から開催した。映画のこともありますし」と語る。
「映画」とは、今月6日に封切られた「世界が食べられなくなる日」のこと。
フランスの生物学者(ジル・エリック・セラリーニ)は、200匹以上のラットを対象に、一生(2年間)、遺伝子組み換えトウモロコシを与え続け、「メスには乳腺腫瘍、オスには肝臓や腎臓の障害、両者で寿命の短縮」という研究結果を公表した。
映画「世界が…」は、これをもとに、遺伝子組み換えの実態に迫ったドキュメントだ。
公開により、「遺伝子組み換え=危険」という評価が一人歩きすることを危惧したのだろう。
映画の是非はさておき、遺伝子組み換え作物の世界での栽培面積は年々、増加。日本ではまだ商業的には栽培されていないが、主要作物における遺伝子組み換え作物輸入比率(推定)では、トウモロコシ78%、大豆91%、ナタネ95%、ワタ98%にもなる(下グラフ)。
大半は家畜飼料用だが、しょうゆ、みそ、食用油など加工食品の原料にも使われており、私たちはすでに知らず知らず、GM作物を口にしている。