・出展:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
http://kokumin-kaigi.org/
・Sluijs博士(Utrecht大学コペルニクス研究所)発表
『浸透性農薬への総合的評価』から
理事 水野 玲子
今回来日したスルージス博士は、浸透性農薬の危険性を訴えているヘンク・テネケス(『Disaster inthe making』2010年の著者)と共に、ヨーロッパでネオニコチノイド農薬研究の第一人者といえる人物である。
オランダではネオニコチノイド系農薬の導入以降、イミダクロプリドによる表層水汚染が進み、昆虫や鳥類の生存を脅かしている。この農薬導入以降、チョウが激減したのではないかとの報告もあり、生物多様性への持続的な悪影響をもたらこの問題への関心は高い。
9月2日の講演内容はネオニコチノイドの毒性から科学的評価の考え方に至るまで幅広いものだったが、その一部を簡単に紹介しよう。
ここで農薬の総合的評価といわれるものは、これまで農薬企業や日本政府がおこなってきた個々の農薬の毒性評価とは少し違う。
それだけではなく、広く水系、土壌、水生生物、食物連鎖、無脊椎動物などをふくめた生態系への影響を検討し、さらに行政による農薬リスク評価の欠陥に迫るものだ。
進むオランダ水系のイミダクロプリド汚染
2004年以降、オランダの表層水のイミダクロプリド汚染レベルは、下図に示すよう毎年進行しており、水質のイミダクロプリドの最大許容レベル(MTR=13nanogram/liter)を超える地域が増えている。
また、作物に使用されたネオニコチノイド系農薬は1.6‒20%しか作物に吸収されず、ほとんど(80‒98.4%)が土壌と水系に吸収されるとする報告もあり、水系汚染は留まるところを知らない。
オランダ水系のネオニコチノイド汚染が、標的外の生物多様性に及ぼす影響(Eff ects ofneonicotinoid pesticide pollution of Dutch surfacewater on non‐target species abundance Teresa C.van Dijk)Sustainable Development Track Land use,Environment and Biodiversity (SD: LEB)UtrechtUniversity