◆新たな懸念
さらに、ペンシルバニア州立大学のチームが、懸念すべき研究結果を発表した。
殺虫剤の効果を高めるために常用されている補助剤(不活性成分)が、有効な“有毒”成分と同等、あるいはそれ以上の害を及ぼすというのだ。
ペンシルバニア州立大学のメリーアン・フレージャー(Maryann Frazier)氏は今回の研究に参加していないが、補助剤の配合は、「多くの場合、機密情報であり、企業が公表することはない」と説明する。
「つまり、第三者によるテストで毒性を評価できない。申請された殺虫剤を評価するEPAも、有効成分のみを考慮している」。
◆降りかかるストレス
ハチは、気候変動や異常気象だけなく、テストも規制もない化学物質にさらされている。
しかも、単一作物生産地の増加で採餌に適した環境が減少し、農場から農場へとトラックで運ばれるストレスが加わる。
現在の土地利用に強く反対する者もいる。
ノースダコタ州で4代目として養蜂業を営むザック・ブラウニング(Zac Browning)氏は、「ミツバチにとって、生息環境が重要だ」と話す。
「栄養に富む花が必要で。アメリカの農地の60%超を占める小麦やトウモロコシ、大豆などの作物ではない」。
バイオ燃料のためにハチが犠牲になり、そのつけが回ってきていると、ブラウニング氏は嘆く。
「養蜂は単一作物生産に適応してきたが、それは健全な状態ではない」とブラウニング氏は言う。「持続可能な農業に投資すれば、まだ成長の余地はある」。
しかし、多くの養蜂事業者と同じく、ブラウニング氏の将来に対する自信は巣箱の数とともに失われつつある。
「既に一文無しも同然だ。実際に行動を起こさなければ、この産業は衰退するだろう」。
そして、バラエティ豊かな食卓に貢献している小さなハチも、同様の運命をたどることになる。
Jennifer S. Holland for National Geographic News