2.基本的考え方
(1) 受動喫煙防止対策の推進に当たって、受動喫煙を含むたばこの健康への悪影響についてエビデンスに基づく正しい情報を発信し、一人ひとりがたばこの健康への悪影響について理解を深めるとともに、ニーズに合わせた効果的な普及啓発を一層推進することにより、受動喫煙防止対策があまねく国民から求められる気運を高めていくことが重要である。
また、喫煙者の喫煙の自由や権利が主張されることがあるが、喫煙者は自分の呼出煙、副流煙が周囲の者を曝露していることを認識する必要があるとともに、喫煙者の周囲の者が意図せずしてたばこの煙に曝露されることから保護されるべきであること、受動喫煙というたばこの害やリスク(他者危害)から守られるべきであることを認識する必要がある。
(2) 今後の受動喫煙防止対策は、基本的な方向性として、多数の者が利用する公共的な空間については、原則として全面禁煙であるべきである。特に、子どもが利用する学校や医療機関などの施設をはじめ、屋外であっても、公園、遊園地や通学路などの空間においては、子どもたちへの受動喫煙の被害を防止する措置を講ずることが求められる。
そのためには、国や地方公共団体はもちろんのこと、様々な分野の者や団体が取組に参画し、努力する必要がある。
(3) 一方で、我が国の飲食店や旅館等は、中小規模の事業所が多数を占めている中で、昨今の世界的な社会経済状態の影響等も相まって、飲食店経営者や事業者等にとって、自発的な受動喫煙防止措置と営業とを両立させることが困難な場合があるとの意見がある。
このような意見も考慮した上で、受動喫煙防止対策の基本的な方向性を踏まえつつ、対策を推進するためには、社会情勢の変化に応じて暫定的に喫煙可能区域を確保することもとり得る方策の一つである。
(施設・区域において推進すべき受動喫煙防止対策)