・コチニール色素中の夾雑主要アレルゲンタンパク質の解析に関する研究
国立医薬品食品衛生研究所代謝生化学部 穐山 浩
コチニール色素は,雌のエンジムシを原料とする赤色色素で,食品や化粧品等に使用されている。
一方,この色素は色素含有食品の摂取による食物アレルギーとして重篤な症状を引き起こすことが報告されている。
そのアレルゲンは,色素本体のカルミン酸ではなく,原料由来の夾雑タンパク質によることが示唆されているが,その同定には至っていなかった。
昨年度まで、主要アレルゲンが38 kDaであることが明らかにした。
また,このタンパク質(CC38K)のアミノ酸配列は,ハチのアレルゲンであるホスホリパーゼA1関連タンパク質と相同性が高いことが示した。
今年度は、添加物原料からコチニール色素夾雑タンパク質を検出するためのポリクローナル抗体を調製し、化学発光検出のELISA法を確立した。
食品添加物製品及びその原材料からは検出されなかった。
また添加物原料から酵素を用いて糖鎖除去(脱グリコシル化)を行い、アレルギー患者および健常者IgEとの反応性への影響から糖鎖修飾の抗原性への寄与を調べた。
コチニール抽出液中のタンパク質で、グリコペプチダーゼA処理によって患者IgEとの反応性が顕著に低下するタンパク質バンドは見出されず、CC38Kバンドについても糖鎖除去による変化は少ないことが示唆された。
runより:コチニール色素は非常に多くの食品に使われています。
国民の3分の1が何かしらのアレルギーを持っていると言われる現在の理由の1つに入るかもしれませんね。