・21.13 IARC 結論の後に発表された、いくつかの研究
インターフォンの北欧部門は、携帯電話電磁波に対する脳腫瘍の位置に関する研究を発表した(Larjavaara 等,2011)。
その研究は上記で議論したように、カーディス等(2011)による結果と矛盾するように見えるが、異なった、明確さが少ない方法を使っている。
42 症例だけが携帯電話を10 年以上使っていて、使用期間が最も長い高被曝グループでの分析は行われなかった。
従って、この研究は、カーディス等(2011)が行った精巧さが少なく、有益さが非常にとぼしい。
デンマークで、携帯電話契約者のコホート研究は、国際疫学研究所(IEI)とアメリカのロックヴィル[Rockville]医学博士、デンマークがん協会との協力で立案され開始された。
そのコホート研究は、デンマークの二つの電話運営会社(The Denmark Mobile とSonafon)、IEI、デンマークがん協会による資金提供によって行われた。
IEI の資金源は公開されていない。
携帯電話契約者の脳腫瘍リスクに関するデンマーク研究からの最初の結果は、2001 年に発表され、2006 年と2011 年に更新された(Johansen 等,2001;Schuz等,2006,2011;Frei 等,2011)。
それは、デンマークの二つの事業者The DenmarkMobile とSonafon のコンピューター化されたファイルで確認された、1982 年1月1 日から1995 年12 月31 日までの対象者を含む。
合計で723,421 人の契約者が確認されたが、これらの契約者の58%だけが最初のコホートと一致する。
IARC が評価の証拠として、デンマーク研究を使わなかった主な理由は、被
曝評価で相当な誤分類の結果になったからだ(Baan 等,2011)。
16 :1990 年代初め、フィリップ・モリスたばこ会社は、IARC の研究と二次的な喫煙に関するIARC モノグラフの可能性が、ヨーロッパでのでの規制を増やすことを怖れ、IARC の作業を打ち砕くための産業間の三つの戦略の先頭に立った。
科学的戦略は、IARC の研究の力をそぎ、予測される結果に対抗する業界主導の研究を行うことだった。
コミュニケ?ション戦略は、メディアと公衆を操ることで具体的な意見の計画をたてた。政府戦略は、喫煙規制の増加を妨げるよう求めた。
IARC の研究費は10 年で200 万米ドルだった。
フィリップ・モリス社は研究に1年だけで200 万米ドルを使い、400 万米ドルまで上げた(Ong とGlanz.2000)。
デンマーク研究の著者等は、そのような相当の被曝の誤分類の主な原因を自身で指摘した(Frei 等,2011)。
電話を使わない携帯電話契約者が「被曝」として分類された。携帯電話を使う非契約者が「非被曝」として分類された。
ヘビーユーザーがいる傾向がある法人契約者(200,507 人)が「非被曝」として分類された。
1995 年以降に携帯電話契約をした人(デンマークの人口の80%以上)が「非被曝」として分類された。
ハーデル等が脳腫瘍の非常に高いリスクを関連させたコードレス電話の大勢の使用者も、「非被曝」として分類された。
その他の限界は、側面(携帯電話を使った頭の側と脳腫瘍の関係)による分析がないこと、そして実際の被曝データが完全にないことだ。
このコホート研究のこれらと、その他の欠点はもっと詳しく他でも議論されてきた(Ahlbom等,2007;Soderqvist 等,2012b)。
「大規模で全国的な携帯電話使用に関するコホート研究のこの更新において、因果関係の小さな証拠を提供する、中枢神経系の腫瘍リスクは増えなかった」という著者等の結論には十分な根拠が無いことは、これらの限界から明らかだ(Frei 等、2011)。