早期警告からの遅すぎる教訓4 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・21.4 第二、第三のハーデル・グル-プ研究?2002~2006 年
ハーデル・グループによるこの最初の研究は、携帯電話の使用と脳腫瘍の関連をいくぶん支持した。

しかしその結果は、とくに腫瘍のタイプと長期間の使用について数が少なかった。

そのため最初の研究の後、1997~2003 年の時期に診断された症例を含む二つのより大規模な研究を続けた。

第二の研究は、1997年1 月1 日から2000 年6 月30 日までに、第三の研究は2000 年7 月1 日から2003 年12 月31 日までに診断された症例を網羅した。

その方法は同じで、どちらも同一の質問票を使った。

これらの二つの研究期間の結果は、個別に発表されたが(Hardell 等、2002、2005,2006a)、1997~2003 年の全体の研究期間について、ここで貯めた結果は提示された(Hardell 等、2006b、2006c,Hardell と
Carlberg,2009)。

詳細は他の出版物で見ることができる。
2 110 件の電話モデルの論評は、電磁波への被曝は一般的に、耳に近い脳の一部である側頭葉で高いことを示す(Cardis 等、2008)。
3 つまり、腫瘍は携帯電話が普段使われる頭の側で現れた。
要約すれば、全ての症例はがんの登録について報告され、腫瘍診断の病理組織学的な確証があった。

診断時に20~80 歳の男性と女性の両方が含まれた。

合致した対照群は、スウェーデン人口登録から確認された。研究は、携帯電話とコードレス(DECT)電話(無線電話)の使用を対象にした。DECT は、他のほとんどの研究が無視した被曝だ6。他の質問、例えば職業被曝に関するものも尋ねられた。

無線電話の使用は、自己管理式質問票で評価された。

必要があれば、電話以外の情報も補足された。
携帯電話・コードレス電話で通話する間にだいたい使われていた耳は、区別するための質問をして評価した。

片側の耳で50%以上使うか、それとも両側とも同等か、だ。

この情報は補足的な電話での質問の間に確認された。

さらに、無線電話を使った全員が、通話中に使った耳と、主に使った頭の側の範囲をもう一度明記するよう求める手紙を後に受け取った。

これらのデータを評価するために、この三つの方法を使う結果について、非常に良く同意された。
それとは独立して、コンピューター断層撮影(CT)や磁気共鳴映像法(MRI) 等の医学的記録を使って、腫瘍の位置を明らかにした。

携帯電話やコードレス電話の使用は、腫瘍のある側について、同側(通話時間の50%以上)または同側・反対側で同等の時間、反対側(通話時間の50%以下)で明確にされた。数年以上の累積使用時間の計算は、使用した最初の年と最後の年(期間)と、その使用期間の一日あたりの平均的な使用時間の情報に基づいた。

外部アンテナでの車内での使用は、ハンズフリー機器の使用と同様に無視された。

最も短い潜伏期間として1 年が採用された。従って、異なる種類の電話について累積使用時間と潜伏期間が確認された。

4 Bradford Hill 卿の古典的な疫学論文「環境と病気:関連性か因果関係か?」(王立医学会会報、1965 年)を参照。

彼は統計学的有意性を過大評価しないよう警告した。

データの中にある「影を捕まえて本質を失う」よう人々を導くことがしばしばあるからだ。予防(原則)的意思決定の科学について26 章も参照。
5 Stein Y., Levy-Nativ, O., Richter, E.D., 「非電離放射線電磁界と他の作因に対する職業被曝を伴うがん患者の歩哨症例シリーズ」、Eur. J.Oncol.,2011(16/1)21-54.それは1945 年に日本へ投下された原爆も脳腫瘍を起こした確証を得るために約50 年かけた。

それまでのデータは明確でなく十分な強さがなかった(Shibata, Y.等. 「長崎原爆生存者の間の頭蓋内髄膜種」、Lancet,1994、(344)1 770)。
6 インターフォン研究(セクション20.9 参照)は、少なくとも数か国でコードレス電話に関する質問をいくつかしたが、その情報が適切に分析され、発表されることは決してなかった。

コラム21.1 ヒトを対象にした研究でがんのリスクを確認する概念と手段
OR:オッズ比。オッズ比は、関連リスクの評価だ。

因子(例えば携帯電話)
に曝された人が、曝されていない人に比べてある結果(例えば脳腫瘍)に、
どのくらいなりやすいかを示す。OR=1 ならリスクがないことを、OR<1 は
リスク減少を、OR>1 はリスクが高いことを示す。

例えばOR が1.5 だと、被曝した人はそうでない人より、病気になるリスクが1.5 倍高いことを示す。
SIR:標準化罹患比。SIR は、参照集団(例えば一般の集団)で観察されたのと同じ率になるように適用された予測された症例数と、特定の集団で観察された症例数を比較すること。

SIR が1 だとリスクがないことを示し、SIR<1 はリスク減少を、SIR>1 はリスク増加を示す。
CI:信頼区間。信頼区間は、統計学的評価の不確かさを示す。OR とSIR の場合、対応するCI の幅が1.0 を含まないなら、その結果は統計学的に有意だと考えられる。

通常95%の信頼区間は、95%の統計学的信頼性で、OR/SIR の本当の幅を示して報告されている。「統計学的有意性」がないことは、リスクを検出するための研究の出力に対して、リスクの証拠の強度が弱ことを示す指標にたいていなる4。
潜伏期間。最初の被曝から病気だと確認されるまでの期間。がん、とくに白
血病等の血液のがんに比べて脳腫瘍等の充実性腫瘍のがんの場合、潜伏期間は被曝時の年齢や被曝の種類、強度などに従って平均で15~45 年になるだろう5。

これは、がんのリスクが明らかに証明される前に研究される脳腫瘍について、全てのがんの研究は、少なくとも平均的な潜伏期間と同じくらい長く
なければいけないことを示す。