・PM2.5とは何か
大気中に浮遊している粒子状物質(PM)としては粒径が100µm程度(1µmは1/1000mmである)まで考えられており、質量濃度では大きく約2µm以上の粗大粒子と約2µm以下の微小粒子に分けられる(図3)。
粗大粒子のほとんどは図2で示したように物理的な発生であり、微小粒子は燃焼由来の一次発生粒子や光化学反応等による二次生成粒子である。このように発生過程も健康影響と同様に大きく粒径に依存するため、呼吸器系における粒径別沈着部位を考慮して、環境基準が決められることになる。
図3●種々のカットポイントを持つサンプラーによって採取された粒子の粒径分布
出典)J. Air & Waste Manage. Assoc., 1997, Wilson & Suh
大気中のPMとしては、30µm以上のものも存在するが、その大気中での滞留時間(寿命)は短く、一般のハイボリュームエアサンプラーで採取される約30µm以下の粒子状物質を、全浮遊粒子状物質(TSP)と呼ぶことが多い。
粒径別粒子の厳密な定義としては、50%カットオフ粒径を添え字として、PM2.5やPM10として表す。
この添え字の2.5と10は空気力学カットオフ粒径を示し、それぞれ2.5µm、10µmでの粒子の透過率が50%であり、より大きい粒子の除去を表している。