ネオニコチノイド農薬―最近の内外の動き | 化学物質過敏症 runのブログ

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・ネオニコチノイド農薬―最近の内外の動き
理事 水野 玲子
 原発震災による放射能汚染によって、日本ではすっかり陰をひそめたネオニコチノイド農薬の問題である。

しかし、この間に欧米諸国では、この農薬の危険性を示す科学的証拠が着実に蓄積され、世界的に注目される状況になっているので、そのいくつかを紹介する。
≪ミツバチとネオニコチノイド農薬問題の経緯≫ 1990 年代半ばから、ヨーロッパ諸国で始まったミツバチ大量死や大量失踪は、その後米国で蜂群崩壊症候群(CCD)と名づけられた。

その原因としてネオニコチノイド農薬が疑われながらも、ウイルスやストレスなど複合要因が関係しているとする見解が、米国や日本におけるこの農薬規制を遅らせてきた。

こうしている間に、ミツバチ大量死は世界中に広がり、今日では、欧米諸国の他に中国やインド、中南米などでも発生するようになった。
 一方、フランスやドイツ、イタリアなどいくつかのヨーロッパ諸国では、この農薬によるトウモロコシやナタネなどの種子処理(殺菌)が原因として大きく浮かび、一部禁止措置が取られてきた。

だが、日本では7種類のネオニコチノイド農薬やフィプロニルの使用量は年々増加の一途を辿っているにもかかわらず、何ら具体的施策の進展はない。その間にも、農水省は減農薬のためと称してネオニコチノイドを推進し、“害虫は殺すが人には安全・弱毒性”という宣伝を、多くの人がまだ鵜呑みにしている状況である。

:ミツバチと農薬をめぐる科学の進展
サイエンス誌のふたつの論文
 2012年3月末、世界的に権威ある科学雑誌「サイエンス」が、ネオニコチノイドとハチに関する二つの論文を掲載した。それは、ネオニコチノイドがミツバチに悪い影響を及ぼすことを示す確かな証拠であり、この知らせは世界各地で報道された。

そのひとつの論文は、ハチがすぐには死なないレベル(亜致死レベル)のネオニコチノイド農薬(成分名:チアメトキサム)をエサに混ぜて食べさせると、巣に戻る働きバチが大量に減ったことを明らかにし、またもうひとつは、マルハナバチに低濃度のネオニコチノイド農薬(成分名:イミダクロプリド)を混ぜたエサを食べさせると、6週間後に正常な群れと比べて新しく生まれる女王バチの数が85%減少したというものだ。

もともと、この農薬がハチの中枢神経に作用することは知られているが、巣に帰ることが出来なくなったハチの失踪と、この農薬との関連が実験によって実証されたのは初めてであった。