・統計 [編集]
日本では2007年時点で厚生労働省の調査から、有病率は人口の約1.7%、患者数は200万人程度と推定されている。
全体の75%以上が女性で特に20-60歳中高年の発生率が高いと言われている。
患者の内約5%が小児との調査結果もある。関節リウマチ患者との合併率は15.8%である。
日本では一般医の25~30%しかこの病名を知らず、患者の9割以上が病名すら知らないとの調査もある。
医師の間でもこの病気の知名度が低いことから、患者がこの病名を教えてくれる医者に会うまでに平均6~8軒の病院を回ってしまう。
ドクターショッピングを行う代表的な疾患と言われる。
アメリカの総人口の内FMS患者は2%~4%最大400万人以上と推測され、女性で3.4%、男性は0.5%、リウマチ科に通う患者のうち20~30%がこの病気であるという統計がある。
又適切な専門医に出会うまで平均5年を要する。
アメリカでは個人と社会がFMSにかけるコストは莫大で、患者が一ヶ月にかける費用は保険を100ドル~1000ドル上回る。
又毎年国家の総生産力の1%~2%の損失を出している。
CFS(慢性疲労症候群)では日本国内においての経済的損失は、年間約1.2兆円と想定されているが、それを参考とした場合線維筋痛症患者における経済的損失は、年間約12兆円となる(単純計算による)
2010年現在製薬会社及び医療関係では、線維筋痛症候群の世界的な市場性は400億円以上、関連する神経障害性疼痛患者は2200万人以上と見られており、治療法が確立すれば10年以内に2000億円以上の利益があると見込まれている。
また治療薬のFDAへの申請承認によりその製薬会社の株価は上昇する傾向にある。
問題点 [編集]
1.原因が不明であり治療法が確立されていない。
日本では病名も知られていないのが実状である。
既に欧米諸国では病院と製薬会社の連携の下に原因の解明と治療薬の開発が進められている。
また米FMS協会はファイザーやイーライリーなどの大手製薬会社の資金援助を受け提携している。
2.日本の学会においては分類法が未だ論争中であるため病名の認知が遅れている。
又どの科が受け入れるかも決まっていない。
その為医療難民が続出している。
3.日本の医療従事者には器質的な問題と捉える者は少なく、感情や家庭環境、対人関係など心因性で患者本人の責任と切り捨てられる事が多い。また精神疾患と見なされる場合も多い。
4.医者の間で線維筋痛症の知名度が低いことから、患者が線維筋痛症という病名を教えてくれる医者に会い、適切な治療を受けるまでに長期間を経てしまう。
その間に病状が悪化したり、検査料、投薬料、入院料などの医療費がかさんでしまう。
5.仮病や心気症的な振る舞い(注意をひいている)とされ精神科にまわされることが多く、診察を拒否する医師さえいるので、患者は診断を受けるために長期の時間苦しむことになり、病気を難治化・長期化してしまっている。
6.線維筋痛症は日本において社会保険診療報酬制度に入っていないため、保険適用外となっており、医者が随伴症状で保険を適用させている。
厚生労働省において「線維筋痛症特別研究班」が設置されており、現在全国の患者数の調査を進めている。
欧米諸国やアジア先進諸国では生活機能障害等の援助が実施されているにもかかわらず、日本での行政対応は遅れている。
7.特定疾患の認定は通常2万人以下である事が多く、200万人のFMS患者への認定は難しいと思われる。
又重症患者のステージの線引きも難しい為、保険病名適用が待たれる。
8.社会的認知度が低く、痛みを客観視する方法がなく、検査しても異常がないことから多くの患者は「詐病」「怠け病」とみなされ精神的苦痛が大きい。
9.重度の患者は寝たきりとなるため、働けず収入を得られず経済的に困窮する。
多くの患者のQOL(生活の質)やADL(日常生活活動)が著しく下がる。
一説では患者のQOLはRA(リウマチ)より低い。
この病気が、就職、勉学、結婚、妊娠、出産、家庭、友人関係、などの大きな障害となっている。
10.身体障害者福祉法、障害者自立支援法による介護や援助を得られない。
11.小児の患者も見つかっており、小児科医の認知が必要である。
12.「ペインビジョン(PainVision)」などの電流知覚閾値検査装置で、これまで医師に伝えることが難しかった痛みの度合いが、客観的に数値化・視覚化できるようになる可能性がある。
それによって患者が感じる痛みの量を患者と医師が共有したり、患者の心理的負担が軽くなる事などが期待される。
しかし、この装置を置いている病院はまだ少なく、その他の病院ではフェイススケール等に頼っている。