化学物質過敏症と似た病気:線維筋痛症3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・治療 [編集]

線維筋痛症患者は睡眠の質が極端に悪いことが報告されている。

自らの体重でも重さで痛みが増す他、ストレスや気圧の変化などでも悪化する(雨の日や冷えは病状をかなり左右する)。

現在、痛み止めには精神薬で痛み神経を緩和する薬の他、不眠を緩和するために睡眠薬も処方されることが多い。

睡眠をとっていても、脳波は起きているときと変わらないほどα波が少ないという報告がされた。

線維筋痛症患者にとっては、一日最低でも8時間以上睡眠を十分とることが治療に有効だという説が強い。

患者には薬物で痛みを緩和するだけでなく鍼灸、漢方薬、サプリメント、点滴などの統合医療、補完医療も試行されている。

患者の心身にストレスになる環境を避けることは必須である。

患者は、何らかのストレスを抱え込んでいる真面目かつ責任感が強い人などが発症しやすい傾向にあることがわかっている。

痛みと苦痛を訴える患者について、医療者は患者の抱えている人生問題、家庭や職場環境など、背景の心の問題となる悩み事を蓄積している要因についてもカウンセラー、心療内科、精神科との連携医療により、患者の話を聞きストレスを改善できるようアドバイスすることは患者の予後を良くするために有効である。

投薬だけでは痛みをごまかしているに過ぎない。

たっぷりのビタミン、栄養、規則正しい無理ない生活、認知行動療法、自然療法、温熱療法などリラックスして疲労を除去しながら病をケアしていく、病との向き合いが大切である。

理解者がいないことは患者をもっとも孤独にさせ、孤独は痛みを増幅させるため、家族も含めて病の性質に理解をもつことが家族にとって大切なこととなる。

環境を変える-問題点の洗い出しとストレスの除去 [編集]

家庭環境も含めた患者自身の幸福を感じられる生活環境への転換を図ることも推奨されている。

現状の線維筋痛症の抱える問題点・介護保険・投薬治療の現状 [編集]

「死に至る病ではないが、死んだ方が楽なほど痛い」と表現される病であるだけに常にどこかが痛む患者の辛さはなかなか他人には理解されないが、患者にとっては楽に生活できるものではない。

他人に目に見えて理解される障害部位が何もないため、一見健康そのものであるが、常にあらゆるところが痛んでいる。

寝ていれば筋肉が落ち、血行も悪くなるため、適度なリハビリや社会参加は患者にとってよい。

周囲に痛みを理解されず、家族から怠け者扱いされたり、周囲の友人や職場の人間にも怠け者と思われているという訴えが多く、患者は身体的傷みだけでも苦痛な上、精神的にも社会参加できない情けなさ、周囲の無理解にさらされ、孤独になる。

これにより痛みが酷くなり病院に駆け込むケースも多いが、結果失望して医療不信になりさらに落ち込むという悪循環にもなりがちな深刻な病なため、家族や周囲、医療者の痛みへの理解が得られなければ当然、うつや自殺念慮、自殺未遂なども患者が考えてしまうことは容易に推測できる。

QOL、ADLが極端に低下するため、回復を目的として、患者の治療にはまず、疲労させない・ストレスをためず病を受け入れて暮らしていく生活に切り替えていくこととなる。

そのため、働くことも制限していかねばならないこともあるが患者は無理して働き続けてしまうケースが多い。

これらについては、早急に社会的理解と介護及び支援が必要であるが、炎症反応が認められないなどの医学の遅れにより、未だ日本の法律では要介護認定で該当判定される事は稀で、何らかの合併症により悪化している患者には認定されるが、目に見えたほかの部位の硬直・自立困難などが見られない場合は、身体障害者手当の受給にも至らない。

2012年現在、(c特定疾患)未認定である。(他疾患を合併している患者はその疾患で公費負担になっていることもある。)

保険内治療については2010年度からようやく一部の薬に保険適用が認められたが、患者の多くは痛みを緩和するための薬であるが保険適用にならない疾患であることから、意にそぐわずに精神科などで薬を処方してもらうしかない。[要出典]。
補足1//欧米では、痛み緩和の新薬についても早くから保険適用が認められている。
補足2//日本線維筋痛症学会も米国で認められている効果が高い新薬の認可を進め、2008年からはリリカ、ガパペンチンなど、痛み緩和に有効とされる薬が厚生労働省より認可された。

あらゆる薬があるが、対処療法の域を出ず、副作用による内臓への負担や体質に合わない薬の場合はめまい・浮腫・目のかすみ・喉の渇きなどの深刻な副作用もある。

出来るだけ自然療法・認知行動療法・温熱療法・無理をしないライフスタイルに切り替えるなどの人生そのものの見直しがない限り、なかなか完治は難しい病である。

歴史 [編集]
欧米[どこ?]では100年以上前[いつ?]から認知されていた疾患である。
欧米のリウマチ科ではよくある病気と考えられており、臨床教育ではプログラムのなかには線維筋痛症(fibromyalgia)がある。
欧米では生活機能障害などの保険が適用される。
2002年、線維筋痛症友の会(Japan Fibromyalgia Support Association)が患者により設立される。
2003年、厚生労働省が『線維筋痛症研究班』を発足させる。2008年から独立研究班として継続中。2009年より年労働省研究班線維筋痛症医療情報センターから業務を引継ぎ日本線維筋痛症学会 JCFIが調査を行っている。
2009年サイトカインの一種であるインターフェロンγの増加と、ミクログリアATP受容体のP2X2~7の過剰発現、インターフェロンgとP2Y12、その他ミクログリアに発現する様々な分子を標的にした治療が今後、慢性疼痛治療薬開発への非常に有望なターゲットと期待されている。
2010年、引き続き各国医療機関及び製薬会社は、ニューロン単独抑制から、過剰にニューロンを過敏にするグリア細胞抑制へとターゲットを変え、神経内分泌系及び神経伝達物質に注目している

病理 [編集]

腰痛症や頸肩腕症候群、変形性関節症などから慢性局所痛症(chronic regional pain: CRP)や慢性広範痛症(chronic widespread pain: CWP)が引き起こされる。これらCRPやCWPから線維筋痛症(fibromyalgia syndrome: FMS)へ進行すると考えられている。[1]

男女比では、女性が多く、患者の約8割を占める。

発症年齢としては30歳代~60歳代が多い。

症状 [編集]
全身に慢性的に激しい痛みが生じる。
痛みの種類は普通の人が日常経験する痛みと異なり、耐え難いもので「電気が走るような痛み」や「ガラスの破片が流れるような痛み」(「闘病記・手記>40歳女性の場合」線維筋痛症友の会)などという表現で患者に形容される。
疼痛レベルや痛みの種類は天候や気温に湿度、環境、五感による刺激、肉体的精神的ストレスで変化する。

しばしば疼痛箇所は移動するが、痛みが途切れる事は無い。
症状には個人差があり、軽度なら仕事を続けられる場合もあるが、重度の場合はガンの末期患者と同レベルの疼痛といわれ、日常生活に支障をきたし自力で生活できない場合がある。

症状が重くなると髪やつめに触っただけで痛みが走り、意識がもうろうとなり寝たきりになる。通常の日常生活(食事・買い物・入浴・着替え・歩行・寝返り等)、呼吸や嚥下すら困難になる。
視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感が著しく過敏になる。

そのため僅かな音や光、軽い接触にも痛みを感じるようになる。

化学物質やアルコール不耐性になり、アレルギー症状は悪化する。
灼熱感や冷感、悪寒、穿痛感、乱切痛、アロディニアなどの知覚異常が見られる。
思考と理解力の低下、短期と長期記憶力の低下、集中力の欠如と混乱の注意障害、失語症や遂行機能障害などの不安、焦燥、錯乱が見られる。
多くの患者に筋力と運動能力の著しい低下、筋肉の激しい疲労、筋肉の痙攣、行動力の低下、関節の痛みと腫れ、重度では立ち上がれない、起き上がれない、以前歩けた距離が歩けなくなるなどの症状が見られる。

そのため多発性筋炎・皮膚筋炎と診断される事もある。
付随する症状としてこわばりやうずき、痺れ、振戦と震え、全身倦怠感と疲労感、耳鳴り、視力の変化、頭痛、微熱、体温調節の失調、睡眠障害、不眠と過眠、歯や歯茎、顎の痛み、口内炎、顎関節症候群、眼の奥の痛み、頻尿、寝汗、動悸息切れ、発疹、低血糖症、月経前症候群、過敏性腸症候群、三叉神経痛などがある。
ドライアイの報告もありこの場合は自己免疫性疾患シェーグレン症候群合併皮膚筋炎への移行を警戒する必要がある。

しばしば膠原病(リウマチ・エリテマトーデス・MCTDなど)、甲状腺機能低下症(橋本病)、潰瘍性大腸炎、血清反応陰性脊椎関節炎、等の免疫疾患を併発する。

特徴として朝と夕方の疲労とこわばりやリンパ節の痛みが見られる。
特に強直性脊椎炎や血清反応陰性脊椎関節炎の患者が合併症として線維筋痛症を罹患している頻度が高いことが知られ始めており、脊椎関節炎における多発性付着部炎の箇所と線維筋痛症の圧痛点の多くが一致するとも言われている。
この病が直接の原因となり死に至ることは無いと言われているが、その全身の痛みは凄まじいもので、痛みの苦痛等が間接的に患者を死に追いやることはありえる。

2007年2月2日に43歳で亡くなった日本テレビの元アナウンサー:大杉君枝はこの病を苦に自殺したと報道されている[2]。

後述のとおり、この病は患者のストレスや精神状態が症状に与える影響が大きく、神経や精神状態の改善が症状を改善させるという臨床例が多く認められている。

この病は原因が不明で、患者の痛みの理由が周囲にわかりにくいことから、しばしば怠け病や詐病と周囲に誤解されやすいところが、患者のストレスを更に増加させるものと考えられる。

うつ病に対する場合と同様、周囲のこの病に対する理解が必要である。
発症してから初期(1~3年)は少量の抗不安薬や抗鬱剤、十分な休息と睡眠、適切な治療を受ければ社会復帰も可能であり自然治癒する可能性がある。

しかし検査で異常がないため、長年病院を転々とするケースも多く、医師との信頼関係が築けずにPTSD(心的外傷)を起こし、それが引き金となって病状が悪化してしまう場合が多い。

発症から時間が経過する程治りにくいと言われている。
仮面うつ病、更年期障害、自律神経失調症、身体表現性障害と誤診される場合も多い。
特定疾患で難病認定されている多発性硬化症との併発事例も報告されており、更なる治療方法の開拓が望まれている。
同様の病に慢性疲労症候群(CFS)がある(但しCFSは痛みではなく疲労を伴う病である)。

線維筋痛症の発症前後に合併する例も多い。

症状に共通する部分があるため線維筋痛症と同じ病気とみなす医師もいる。

CFSの主な症状は身体的・精神的両方における激しい疲労である。運動・精神活動後によって疲労は強くなり、休息や睡眠によってなかなか回復しない。

不眠・過眠・はっきりした夢を見やすい。

疲労の程度は、何とか働ける程度から、寝返りもうてないほど重症の患者もいる。

診断 [編集]
2010年現在明確な診断基準はなく、現段階では1990年に米国リウマチ学会(ACR)が作成した分類基準を用いて診断している。

しかし不十分な点も多く新たな基準が検討されている。
広範囲に及ぶ痛みが3ヶ月以上続いていて、全身にある18箇所の圧痛点(ツボのようなもの)を4kgFの力で押したときに11箇所以上痛い事で線維筋痛症と診断される。

痛みの発生箇所が11箇所以上でなくても専門医の判断で線維筋痛症と診断されることもある。

ただし、症状が他の病気によるものでないことが条件になる。
日本の患者の症状にアメリカと異なる点があるため、現在日本の分類基準が見直しが求められている。
通常の採血検査、レントゲン写真、CRPという炎症反応、筋電図、筋肉の酵素、CTスキャン、MRIを検査しても異常がなく線維筋痛症と診断できる検査は今の所ない。
時に血液検査で抗核抗体の弱陽性あるいは補体値の低下など免疫学的な軽度の異常がみられる。
同様の症状を呈する疾患として軽症の膠原病や、膠原病の予備群、自己免疫疾患初期の場合があるので、除外診断のため確実な血液検査と筋生検を行う。

また定期的な検査により除外と経過観察が求められる。
筋生検による筋炎(皮膚筋炎等)・血管炎・神経炎の除外は必要である。
ただし米国リウマチ学会の分類基準では他の疾患があっても線維筋痛症は除外されないという表現がされており、線維筋痛症と診断することは誤りではないが、他の疾患が根底にないかを探すことは非常に重要な医療行為であると考えられる。