イソシアネートの脅威5 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・3 エポキシ樹脂とポリエステル樹脂・ポリウレタン樹脂との安全性の比較

 形成材や塗料及び接着剤としてポルウレタン樹脂が幅広く使われるようになりました。

 ここではポリウレタン樹脂に比べればエポキシ樹脂ははるかに毒性が弱いことを述べてみます。

ポリウレタン樹脂の硬化剤として使われるイソシアネートは強い毒性を持っています。

モノマー(単量体)のイソシアネートは大変強い毒性を持っています。例えば自動車のインパネ (計器盤)、シートなどを形成する工場では、タンクにモノマーのイソシアネートを貯蔵して使って います。

成形機に送る手前の密閉空間で主剤と混合し大気中に漏れないようにしています。

 さすがに塗料では危険ですので単体のイソシアネートを使いません。プレポリマーといってイ ソシアネートの単量体どうしが繋がって鎖状になったものを用意します。

しかしそれでも危険性 はあります。少量の未反応の単量体が含まれているからです。

またプレポリマーであってもイソ シアネートは強い反応性を持っているので、人体へ作用は強いのです。

ポリイソシアネートの場 合は感受性の個人差が大きく過去にイソシアネートの感作を受けた人やアレルギー体質の人は、 超微量でも吸入作用による症状を呈することがあります。

エポキシ樹脂でのアレルギー反応の事 例もありますがポリウレタン樹脂に比べればはるかに少ないようです。

(統計によるデータはあ りませんが、筆者の経験・見聞からの判断です。)

 イソシアネートの毒性についてのデータを示します。

 

※ 以下のデータについては「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(岩田敬治 編 日刊工業新聞社刊) 

よりその一部を引用しました。

 

 ここではLC50という半致死量が使われています。

LD50は経口投与が適当なものに使わ れる測定法であって、主に気体または大気中に拡散することによって人体に作用する半致死量に はLC50が使われます。

通常1立方メートルあたりに存在する試験物質の量をmgで表します。

この環境下で半数の個体が致死する試験物質の濃度で表します。

この場合は体重比という考え方 はとりません。

エポキシ樹脂の硬化剤は蒸気になって拡散する量が少なく、ポリウレタン樹脂の 硬化剤であるイソシアネートは蒸気になって拡散する量が多いとうことから、人体への作用のし かたが異なります。

したがって、エポキシ樹脂についてのLD50とイソシアネートについての

LC50を単純に比較することは意味がありません。

 エポキシ樹脂は主として接触によって、ポリウレタン樹脂の硬化剤は空気中に拡散したものを 吸入するという点で毒性の様態に違いがあります。。

 

LC50(半致死量(mg/立方メートル)

  物質の名称
  雄のラット
  雌のラット

ジイソシアネート(TDI)
   350
   310

ジイソシアネート(HDI)
   310
   350

ポリイソシアネート(TDIベース)
   3830 
   3820

ポリイソシアネート(HDIベース)
   425
   400

MINDURCB-67(塗料系)
  >3752
  >3752

DE MINDURN-75(塗料系)
   760
   800


 

 FRPやステッチアンドグルーの接着剤や成形材として使われるポリエステル樹脂については どうでしょう。

 まず、主剤・硬化剤・硬化促進材の揮発性・拡散性が問題です。

イソシアネートと同様に大気 中への蒸発性が強いという点が問題になります。

接触と吸入による急性中毒に気をつけなければ いけません。

エポキシ樹脂に比していっそう作業場の換気に注意する必要があります。

また主剤・硬化剤ともに強い引火性があり、40℃以上の作業環境では使用しないほうがよ いと思います。

以上のことから反応型の接着材をアマチュアが安全に使うという点で、毒性とともに大気中 への蒸発・拡散の度合い、引火性を考慮する必要があります。

 その点でエポキシ樹脂は反応型接着剤の中では、気をつけて使えば、比較的扱いやすい接着・ 塗装材料だということができます。