酔い [編集]
「酔い」も参照
酒に含まれるアルコール(エタノール)を摂取すると人間は酔う。
酔いには、エタノールによる脳の麻痺と、体内でのエタノール分解の過程で生じるアセトアルデヒドの毒性による酔いとの、二種類がある。
以下に、エタノールによる脳の麻痺による酔いを説明する。
アルコールによる酔いは、エタノールの血中濃度に比例する。
しかし同じ量を同じペースで飲んでも、酔う程度は人により異なる。
これは同じ量のエタノールを摂取しても、エタノールの血中濃度は各人が持っている体液の量(体液の量が多いと同じ量のエタノールを摂取しても血中濃度は低くなる)により変わってくること、および、アルコール脱水素酵素の活性度にはアセトアルデヒド脱水素酵素(アルデヒド脱水素酵素)と同じように3種類の遺伝子多型があり、エタノールの分解速度が異なるためである。
アルコール脱水素酵素の活性度は酵素誘導により増減する酵素の絶対量のほかにも、遺伝による酵素タイプの違い(体質)によって変わる。
そもそもエタノールによる「酔い」の本態は、中枢神経系の抑制が原因である。
中枢抑制作用を持つ麻酔とは異なり、エタノールの場合、早期には(低レベルの血中濃度では)抑制系神経に対して神経抑制効果が掛かるために結果として興奮が助長される(アルコール作用の発揚期)。
血中濃度が上昇するにつれて、運動器や意識を司る神経系にも抑制が掛かり、運動の反射時間の延長や刺激への無反応を生じる(アルコール作用の酩酊期)。
さらに血中濃度が上昇すると脳幹まで抑制するので、瞳孔拡大や呼吸停止を引き起こし死に至る。
短時間に代謝量を上回るエタノールを摂取すると、代謝が追いつかず急激に血中濃度が上昇し、発揚期・酩酊期を経ずにいきなり中枢神経系を抑制してしまうことで最悪の場合死に至る(急性アルコール中毒)。