危険な道:第6章:既知の及び疑われている発達神経毒物17 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・神経毒のメカニズム
有機リンとカーバメートは、神経のシナプスあるいは神経と筋肉との接合部で、神経伝達物質アセチルコリンを分解する酵素、アセチルコリンエステラーゼを阻害する。

この結果は二重である。

短期的には、シナプスあるいは神経筋接合部は過剰に刺激され、臨床症状が生じる。

しかし、発達中の生物では先に述べたように、細胞増殖や移動・分化・シナプス形成・アポトーシスでも、神経伝達物質は重要な役割を演じる。
発達中の神経伝達物質レベルの変化は、成熟した場合の被ばくでは起こらない脳に重大な影響を及ぼす。

いくつかの異なるメカニズムが有機リンの神経発達影響を説明するのに役立つ。

第1に、神経伝達物質レベルを変えることにより(アセチルコリンやほかの二次的)、これらの化学物質は細胞の複製や分化を妨害する。

第2に、アセチルコリンエステラーゼ自体が、神経伝達物質アセチルコリンを分解する酵素としての役割とは別に、脳の発達で役割を担っていると思われる。

この酵素はニューロンからの神経突起の成長を促進し、この酵素の不足は神経突起成長を減少させることを研究が示している115。

その他に、コリン作動性メカニズムとは別に、クロルピリホスは DNA 合成を減らし、発達中の脳で細胞数の不足を生じる。116,117 後者の観察は 2つの理由から特に重要である。

第1に、有機リンの毒性の力は、コリンエステラーゼ阻害の程度から推論されることが多いが、DNA 合成と細胞数に関するクロルピリホスの影響は、一般的結論は抗コリンエステラーゼ活性だけから得ることはできない。

一般に、神経毒性検査は細胞増殖と分化に関する有機リンの影響を調べるように計画されていない。

コリンエステラーゼ阻害が最も敏感な指標であると推定されてきている。

第2に、DNA 合成と細胞分裂を弱めるのに必要な低濃度のクロルピリホスは、一部の農薬の家庭利用条件で、子供の被ばくレベルより実際に低い。118,119
ピレスロイドとピレトリン・有機塩素も、神経細胞機能に干渉することにより、毒作用を発揮する。

種々のイオンに対する神経細胞膜の透過性を変えることにより、神経細胞の興奮性を増加あるいは減少させ、繰り返しの発火あるいは不活動を長引かす。

それぞれのグループの殺虫剤も脳の一部で神経受容体レベルを永続的に変化させ、結果として動物の行動を変化させることを発達中の動物で行った研究が示している。

結論
いくつかの様々な農薬グループは、妊娠中あるいは新生児期にある特定の弱い窓の時期に、独特の神経発達毒性を示す。

このような感受性期間の小さな被ばくは、脳の神経受容体レベルを永遠に変化させ、成熟したときに動物で多動を起こす。

これらの悪影響は成熟した動物の被ばく後に見られるものと明瞭に異なる。

ネズミ類で生後10日の脳発達段階は、人間で妊娠の終わり 3 分の 1 の段階と同じであることに注意するのは重要である。

そのため、妊娠後期にこれらの化学物質に被ばくした女性の子孫で、同じ結果が起こる可能性をこれらの結果が示している。

発達の間に混じり合った農薬に被ばくした子供の研究は、持久力や協同運動・記憶・概念化と描画能力などの種々の神経機能に対する悪影響を示している。

そのため、これらの結果は、商業利用を許可する前に包括的な神経発達検査が必要であることを確信させる。

現行法の下で、米環境保護庁はこのような検査を求める権限があるが、まれな例外は別として、権限行使に失敗している(第7 章を見よ)。


runより:え~と、今日で第6章を終わらせる予定でしたがこれでやっと半分を過ぎた辺りです。

さすがに無理なので明日以降少しづつ掲載します。

パート30ぐらいになりそうです(^^;)