危険な道:第5章:障害の複数の原因4 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・遺伝子環境相互作用:複雑さの幅
神経発達における遺伝子・環境相互作用の複雑さはちょうど明らかにされ始めている。

しかし、遺伝子と環境が相互作用する驚くほど多様な様式があることがすでに明らかである。

PKU は一つの遺伝子と一つの環境要因が係わる直線的な「単純な誘因」相互作用を説明している。

次の 3 つの例はより複雑な相互作用を説明する。
例1:複雑な遺伝子・環境相互作用は有機リン農薬の一部の影響を媒介する有機リン農薬の影響を媒介する遺伝子・環境相互作用は極度に複雑であり、まだ完全に理解されていない。

有機リン農薬の影響の一部は少なくとも5種類の異なる酵素によって媒介されており20、その一部は固有の一組の環境や遺伝要因によって影響を受けることが示されている。21 22 23 24 25 26

この相互作用の複雑さを説明するために、今日最も広範に研究されている 2 種類の酵素、パラオクソナーゼとアセチルコリンエステラーゼに焦点を当てる。

1930 年代の開発以来、有機リン化学物質は、適切な神経系機能のために決定的な酵素アセチルコリンエステラーゼの機能に干渉することが知られている。

アセチルコリンエステラーゼは一般に神経系と身体全体に見られ27、神経伝達物質アセチルコリンの分解の役割を果たす。

しかし、有機リン(OP)はこの酵素を阻害し、この重要な機能を遂行することを妨げる。

結果として、アセチルコリンは神経細胞の間の接合点で蓄積し、先ず過剰刺激を起こし、次いで関連する神経経路の完全な機能不全を起こす。

高度の被ばくで、このことは有機リン中毒の特徴的な症状を引き起こし、それは有機リン化学兵器剤によって起こるものと同じである。
多量の有機リン被ばくは、神経ガス症候群を起こすものとして長く認識されてきたが、より最近の動物研究は、少量被ばくが発達中の胎児に知らない間に進む障害を生じさせ、母親では臨床症状が生じない被ばくレベルでそのようになることを示している。
胎児毒性に関する懸念は、アセチルコリンエステラーゼ機能のごくわずかな変化が、発達中の脳のアセチルコリンレベルを変えるという事実から起こった。

脳細胞の増加と分化は局所の神経伝達物質によって導かれ、有機リン被ばくによるアセチルコリン濃度の小さな変化が、被ばくした発達中の脳の構造を変え、後の生活で種々の行動を障害するからである(有機リンは、個々で考察しているアセチルコリンエステラーゼ機構から独立した、他の胎児神経毒性も起こす。詳細は 6 章を見よ)。
遺伝的要因はアセチルコリンエステラーゼが媒介するこれらの有機リンの影響を大きく修飾する。人口の約 4%は、機能の悪いアセチルコリンエステラーゼを作り出す遺伝子を持っている28,29,30,31。

機能する酵素の貯蔵減少はさらに容易に有機リンによって圧倒されるので、これは有機リンによるコリンエステラーゼ阻害に対する個人の脆弱性を増加させる。

また、コリンエステラーゼレベルは、年齢や体重・身長・性・妊娠・肝臓病などの他の種々の因子によって影響を受ける32。

このように、環境と遺伝の前駆因子を持った人は、相互作用しアセチルコリンエステラーゼレベルを決定する。

それは、順に、有機リンの場合、環境毒物に対する胎児脳の脆弱さを決定する役割を果たす。


*急性大量有機リン中毒、大きなコリンエステラーゼ阻害の現れ
アセチルコリンエステラーゼ阻害はア農薬に大量に被ばくした後の急性農薬中毒で長い間知られてきた。

この症状は神経伝達物質アセチルコリンを使う神経系のかなりの部分の過剰活動と機能不全からなる。
この過剰活動・機能不全の結果は、そこから一部の現代農薬が派生した化学物質である化学兵器のために設計された「神経ガス」剤の臨床的影響に匹敵する。

急性有機リン中毒のいやな事態には過剰分泌(流涎・流涙・気管分泌)、呼吸低下・喘鳴と呼吸困難、不安定な脈と血圧、筋肉の引きつけがあり、衰弱または麻痺・おう吐・下痢・尿と大便の失禁、眠気、錯乱、そして最終的に昏睡と死亡がある。65