危険な道:第5章:障害の複数の原因 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出展:環境汚染問題 私たちと子どもたちの未来のために
http://www.maroon.dti.ne.jp/bandaikw/

・第5章:障害の複数の原因
http://www.maroon.dti.ne.jp/bandaikw/child/InHarm'sWay/gen_env_interact.pdf
はじめに
広汎な影響が発達や学習・行動障害に関係する。

これらの影響は一般に 2 つの幅広いグループに分けられる。人間の染色体中に含まれている遺伝情報によって決定される遺伝的要因と、遺伝以外の全影響を含む環境要因である。

環境影響はさらに幾つかのグループに分けられる。この報告の焦点である化学的要因は、個人が曝される合成及び天然に存在する物質と幅広く定義される。

社会環境要因は家族と文化・社会経済的変数を含むと定義される。
様々な領域からの影響が非常に複雑な様式で相互作用することが広く認識されているが、1,2,3一般に一時に一つの領域に焦点を当てる。
結果として、これらの影響の現実世界での相互作用を調べるための本当に橋渡しをする枠組みや方法論はまだ開発されていない。
遺伝または環境:時代遅れの二分法過去20 年間、双子と養子の子供の研究は、種々の認識や行動・個人の特性に対する重要な遺伝的関わりを解明してきた。

しかし、これらの研究はこれらの特徴の多くに関して、遺伝が個人間に見られる違いの約 50%を説明することを示している。4,5

一部の人はこのことを、これらの特徴は遺伝的に決まっている証拠と受け取っている。

ペンシルバニア州立大学発達健康遺伝学センター所長ロバート=プロミンによると、「遺伝の研究は...環境の重要さについて最も良い証明である」。

もし遺伝が特徴の多様性の 50%を説明するのなら、残りの 50%の多様性は環境の影響によるに違いない。6,7

言いかえれば、遺伝と環境の影響は、多くの神経認識特性を決定するのにほぼ同じであると思われる。8
また、これらの研究からの推測は遺伝子と環境は単純な相加的影響を持っているという単純化した仮定に基づいていることを観察者は指摘している。9,10

事実、現在の研究は、遺伝・環境相互作用は極度に複雑であり得ることを示している。発達健康遺伝センターのプロミンと彼の同僚ゲラルド=マッククリアンは、最近のレビュー論文で次のように要約している。

「複雑な表現型に対する単純な方法は、人を誤らせるあるいは誤った結論に導くだろう。特に不適切なことは、どちらかという言葉で表現された質問である:これこれしかじかの特徴は遺伝子または環境の結果だろうか?」。

表現型の可塑性
遺伝形質は個人の特異な遺伝的性質を述べる用語で、一方表現型は実際に現れる個人の特徴または性質をいう。

多くの特徴について、表現型は遺伝形質のごく部分的な結果である。

胎児発達中または生後でさえ遭遇する環境因子も表現型に影響を及ぼす。

ある遺伝形質内の、または遺伝的に類似した個人の表現型の多様さは表現型の可塑性と呼ばれる。
表現型の可塑性の劇的な例は異なる環境中の遺伝的に似た個人の顕著な差である。

たとえば、挿絵の中で、高く細い木は実際に密な森林の中で生長する。そこで光の競争に勝つために急速な垂直の成長は必須である。

遺伝的に似た、短く枝の多い木は光の競争がない南面の開けた斜面で成長し、非常に異なった様式で木が生長する。

一般に、表現型の可塑性は、多様な表現型を誘発する環境の合図と遺伝型に主に基づく個人のこれらの手がかりに反応する能力の両方の結果である。
言い換えると、表現型の可塑性は遺伝-環境の相互作用の結果である。表現型の可塑性には 2 つの種類がある。1

1つは様々であるが比較的安定な一連の環境での表現型のスペクトラムである。これを研究するために、異なる環境にある遺伝的に似た個体群で異なる特徴の現れを探すだろう。

他の可塑性の種類は単一環境中の変異に対して個々の生物の応答をいう。

この場合、適応する能力は、逆に特に発達中のわずかな環境の変動による悪影響に対する脆弱性は、個体の可塑性を反映する。
この報告で、神経発達の特徴または障害の変異の約 40-60%は遺伝子型によると述べる場合、第二の種類の可塑性に大きな関心を持っているが、残りは環境因子と遺伝子-環境相互作用によって一層良く説明される。
1 Via S. The evolution of phenotypic plasticity: what dowe really know? In: Ecological Genetics, Ed: Real L.Princeton University Press, Princeton NJ, 1994